【特別インタビュー】マイクロソフト/ロビー・バック氏に聞く「次世代ゲーム機戦争への戦略」(上)
今年末から来年にかけて市場に登場する家庭用据え置き型ゲームの次世代機。中でもマイクロソフトは前回を遙かに上回る資金をゲームビジネスに投下、先陣を切って今年末にハード「Xbox360」を投入する。同社のゲーム部門を統括するロビー・バック氏に今回の次世代機戦争における戦略と抱負を聞いた。(聞き手:渡辺清治)
Q:次世代機で勝つための戦略とは?
A:現行機(Xbox)での反省を踏まえ、3つの点にこだわった。まず一つめが発売のタイミングだ。前回はPS2が登場してから2年近く後の発売となったが、今回は一番乗りだ。また、デザインも劇的に変えた。そして、前回は日本向けの良いコンテンツがなかったことを反省し、今回はサードパーティからも強力なサポートを取り付けている。現行機を見る限り、Xboxは日本では成功していない。日本は世界で2番目に大きなゲームの市場。私たちが世界ナンバー1になるためには、絶対に日本で星を落とせない。今回はぜひとも日本でのパフォーマンスをアメリカ並みに上げたい。
Q:現行機のXboxではトータルで見ても利益が出ていません。今回は?
A:前回はビジネス上、いろんな問題点があった。発売時期が遅れたうえ、コスト的な制約も大きかった。開発の期間が短かったのでインテルのビデオチップなど標準パーツが多くなり、結果的に台数が伸びてもハードのコストが下がらず、コストダウン以上の早さで製品価格が下がった。今回はATIやIBMにシリコンチップを作ってもらい、台数が出ればコストもどんどん下がる仕組みになっている。
Q:ハード自体で儲ける発想はあるのですか?
A:ハード自体はライフサイクル全部で見て損益分岐点に達すればいい。コストダウンの分はハードの値下げの原資に当て、さらにプラットフォーム構築を進める、というのがビジネススタイルとしては正しい方向性だろう。実際の儲けはゲームソフト、アクセサリー、オンラインのサブスクリプションになる。
Q:前回は一番乗りとなったPS2がXboxの発売前に価格引き下げを仕掛けました。今回はマイクロソフトが同じことをやるのですか?
A:ローンチが一番というのは柔軟性を手にすることができる。いち早く普及台数を伸ばせるし、それによって他社に先行してコストを下げられる。プライス戦略については、Xbox360のセールス状況とソニーの動きを総合的に勘案して考える。ただ、先陣を切るというのは、いろんなメリットがある。少なくとも一番乗りとなる私たちは、いろんな選択肢を手にできるわけで、そういうメリットを使わない手はない。(つづく)
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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