山下達郎、松尾氏めぐるラジオ発言の最大の炎上点 「嫌なら聴くな」的姿勢でリスナーを突き放した
リスナーとパーソナリティーの「共犯関係」を保ちながら、あらゆる方向への配慮も欠かさず、いかに価値観をアップデートしていくか。筆者もラジオ好きなので「世知辛くなったな」とさびしくなるが、これも情報化社会の宿命なのだろう。
「わかる人だけ、わかればいい」という時代ではない
山下さんは以前から、サブスクリプション(定額課金)の音楽配信サービスに、自身の楽曲を出さないスタンスを示している。各所での発言を重ねると、その理由がサブスク業界に現状、収益構造や権利関係の課題が残っていることにあると読み取れる。
しかし、サブスク解禁に否定的な姿勢に、コメント冒頭の「SNSやってない」発言がかけ合わさってしまうと、「ただ単に『デジタル嫌い』なだけでは」といった、ネガティブな印象を与えかねない。
経緯説明の仕方も、両者への印象をわけた。松尾さんのコラムからは「アーティスティック」と感じる一方、山下さんのコメントは、どちらかといえば「ビジネスライク」なものだった。法的な観点から難しい部分もあるだろうが、こうした伝え方の違いにも「既得権益の維持or解体」の対立軸のもとで、うがった見方をするユーザーは珍しくない。
スピード感が求められる情報化社会においては、松尾ツイートから9日後になって、ようやく口を開いたことも、山下さんの失点につながった。SNSはなくても、公式サイトはある。どうしても文書でなく声で……ということであれば、音声ファイルをアップロードすることもできたはずだ。
いくつもの時代を作ってきたからこそ、山下さんに「時代を変えてくれるだろう」と期待していた人は多かった。それだけに、ひとたび失望が広がってしまうと、なかなか挽回するのは難しい。最初の対応によっては、岡村さんの時と同じように、長きにわたって「炎上するポイント」になってしまう可能性すらある。
令和の今はもう、「わかる人だけ、わかればいい」といった時代では、残念ながらなくなりつつある。これから先の評価がどうなるのかは、RIDE ON TIME(時流に乗る)か、否かだ。
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