キラキラしている人はギラギラしているだけかも SNSの投稿には真実と虚構が入り混じっている

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私の場合、完璧な人を前にすると、「ダメな自分を見せてはならない」と緊張が走ってしまい、心を開くことができなくなります。ダメなところがあるからこそ、人はその人に親近感を抱くのです。彼が皆に慕われるのは、彼のダメなところにも起因しているのです。

もう一人、すぐれたダメ人間がいます。彼はCMプロデューサーで、ダルビッシュ有さんのようなクールな雰囲気の方です。

はじめて一緒にお仕事をしたあと、彼は「少し待ってください」と私に伝え、走り去っていきました。もどってきた彼は、私に「こんなのしかないんですが……」と、ぐちゃぐちゃに折れ曲がり汚れた名刺を渡してきたのです。

名刺を切らしていたのでしょう。それでも「名刺交換を」と思ってくださったお気持ちがうれしかったと同時に、あまりのぐちゃぐちゃさに思わず笑ってしまったのでした。

クールな見た目からは想像できないぐちゃぐちゃさ。一気に親近感がわきました。

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また、私の友人にとても美しい女性がいます。ハイヒールを履き、いつも背筋がピンと伸び、凛としていて、とても美しい女性なのですが、お手洗いのあと、手を洗い、その手を自分の服で拭くのです。

あまりに堂々と拭いているので「ハンカチ忘れたん?」と尋ねると、彼女は「私、ハンカチなんか持ったことないよ。服か髪の毛で拭いたらいいやん」と屈託のない笑顔で答えてくれました。

私はこの瞬間に「こんなに美しい女性でも、こんながさつなところがあるのか」と、とたんに親近感がわいてしまったのです。

どんな人も、完璧ではありません。

私の場合はダメな部分が多すぎるので該当しないと思いますが、ダメな部分があることを隠さない自称ダメ人間は、とても正直で、裏表のないつき合いやすい人であるといえます。

おっちょこちょいでどんくさい人を嫌う人がいる一方で、なんだか気になって放っておけないという人が一定数いるのも事実です。

ダメな自分も認めましょう。そのダメなところは、誰かに安心感や親近感を与える材料になりえます。ダメな人ほど愛されるのです。

中村 郁 ナレーター、声優

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なかむら・いく / Iku Nakamura

ナレーター、声優 。生後すぐ、家庭の事情で祖父母に育てられる。癇癪や、過剰に集中しすぎてしまう「過集中」、物忘れがひどく、ぐちゃぐちゃな毎日を送る。大学受験では過集中がプラスに働き、偏差値40を70まで上げて志望大学に合格するも、入学後は華やかな学生たちに馴染めず、人間関係も思考もぐちゃぐちゃに。そんなとき、ナレーターの道をすすめられる。ここで過集中がプラスに働き、人の声が聞こえないほど集中するので、まったくかまずに読めることなどが評価され、数々のオーディションに合格。プロとなって22年間、産休以外で一度も仕事を休んだことがない。

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