韓国紙、安倍演説を「自画自賛演説」と酷評 中国と韓国、「安倍演説」をどう報じたか

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それもそのはず、「誰もが不思議に思っている」(韓国政府関係者)行動が朴大統領に続いたためだ。

4月下旬、アジアを中心に世界の政治家が集まって開催されたバンドン会議60周年行事には、安倍首相も中国の習近平主席も出席したものの、朴大統領は欠席。さらに、昨年4月に300人以上の死者を出したフェリー沈没事故から1周年を迎える行事にも、当初は欠席するつもりだった。その理由が「南米外遊」だったのだ。

外交どころか政治手腕が問われる朴大統領

特に、フェリー沈没事故では犠牲者の中に200人を超える修学旅行中の高校生が死亡した。今でも9人が行方不明のままだ。救助活動をはじめこの事件の処理をめぐっては朴大統領も多大な批判を浴び、その後の国政運営に多大な支障を来したことは記憶に新しい。

しかし、朴大統領は、このことを忘れてしまったらしい。そうでなければ、あえて大事な節目のタイミングに南米へ外遊するというのは、理解できないだろう。

もちろん、外遊自体が悪いとは言えない。外遊は、外交活動の一環ではある。また、事故の行事にも外遊直前に急きょ出席しており、結果的には穴を空けてはいない。だが「非常にタイミングが悪い時に、国民感情をさらに傷つけた。南米よりも、今の情勢を考えるとバンドン会議も出席すべきだった」と、今でも強い批判を浴びている。そして、事故の被害者遺族を中心にソウル中心部で行われた集会にも、警察当局が放水車を動員して解散させた手段も、強い非難を受けた。

「日米同盟の強化で韓国が外された」「朴大統領の外交力不足」との声も日増しに強まっている。こう来ると対日批判を強めて国内世論の結束を図るのが韓国政治の常道だが、それをやったとしても、その手法には日本も飽き飽きしている。

さらに、韓国国民も、日本をよく言わないまでも、それしかやらない朴大統領に失望するだけだろう。「まさしく安倍首相はうまくやって、韓国だけが外された」(韓国紙政治部記者)という言葉が現状としては正しいのかもしれない。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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