「潜水艇タイタン」悲劇の責任は誰が取るのか 遺族が会社を相手に訴訟を起こすのは困難か
<「たとえ死んでも責任は問わない」そんな免責同意書に乗員乗客全員の署名を求めたオーシャンゲート社を遺族が訴えて勝てるのか>
今回のように極めてハイリスクな探検ツアーで事故が発生した場合、最終的に責任を負うのは誰なのか。また、遺族は運営会社に対して訴訟を起こすことができるのか――。
小型潜水艇タイタンの捜索が続いていたとき、法律や保険の専門家たちがこうした疑問について見解を述べた。
6月18日、アメリカの深海探検専門ツアー会社オーシャンゲートが所有するタイタンは、沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見学するため5人を乗せて出港し、消息を断った(編集部注:米沿岸警備隊は22日、タイタンの破片が海底で発見され、乗員5人全員が死亡したとの見解を発表した。外側からの圧力で破壊される現象「爆縮」が起きたとみられる)。
カナダ・ニューファウンドランド島の沖合約600キロの海底に沈むタイタニック号まで、タイタンは2時間半かけて潜る予定だった。通信が途絶えたのは潜水開始からおよそ1時間45分後で、すぐに懸命の捜索活動が始まった。
タイタンにはオーシャンゲートのストックトン・ラッシュCEO、フランス人操縦士のポール・アンリ・ナルジョレ、イギリスの億万長者で探検家のハミッシュ・ハーディング、パキスタンの実業家シャーザダ・ダウードと息子スールマンの5人が乗っていた。
事故の責任は誰にあるのか
普通に考えれば、5人の死の責任は探検ツアーを企画・運営するオーシャンゲートにあるだろう。しかし法律が責任の所在を複雑にする。
ワシントン州エベレットに本社を置くオーシャンゲートは、ツアー中に死亡しても同社の責任は問わないとする免責同意書への署名を、乗員乗客の全員に求めていた。
またオーシャンゲートはいくつもの法の抜け穴をかいくぐっており、同社が法を遵守しているかどうかは複雑だ。