韓国「ロシア由来」の武器をウクライナへ送るのか 韓国の主要武器はロシアの技術から生まれている

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2024年6月、フランスで行われた「ユーロサトリ」で展示された韓国製の「天舞」ミサイルシステム(写真・NurPhoto/Getty Images)
2024年10月中旬、ウクライナや韓国の情報当局が相次いで「北朝鮮人民軍がロシアに入り、ウクライナ戦争の戦場に送る」との情報を発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は10月17日、EU首脳会議の演説で、「ロシア軍は1万の北朝鮮兵士を動員する準備を進めている」と明らかにした。
また韓国の情報機関・国家情報院は同月18日、「10月8日からロシア派兵のための特殊作戦部隊の移動を開始、同部隊1500人をロシア・ウラジオストクへ輸送した」と明らかにした。
こうした動きに、韓国政府・軍が慌てている。対峙する北朝鮮の軍隊が実際の戦場で経験を積むことは、兵器の開発から兵士の運用などに大きなプラスの効果を与えるためだ。そのため、韓国も自国製の兵器・装備をウクライナに送ろうという動きが生じている。もし韓国がウクライナへの軍事支援を決定すれば、その中身は具体的にどうなるか。韓国の国防政策や産業に詳しい、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の伊藤弘太郎氏に聞いた。

 

韓国はすでに砲弾を送っている

――北朝鮮軍の兵士がロシアでの動きを捕捉され、ウクライナ戦争へ派兵されるということが既成事実化しつつあります。もし、これが事実だった場合、韓国がウクライナへ装備など軍事支援をするとなると、どういったものが考えられますか。

韓国はすでに、「アメリカ軍での教育目的での使用」として155ミリメートル砲弾を輸出したのではないかと報道されました。当然ながらこれがウクライナに渡っている可能性があります。そのため、まず砲弾の輸出が強化されるかもしれません。

また、ウクライナは自国の防空システムが不十分だと主張しています。そのため、韓国のミサイル防衛システム用の地対空ミサイル「天弓」(チョングン)が考えられます。

また、韓国メディアなどは防御用として携帯用地対空ミサイルやドローンなどを挙げています。2022年の開戦当初の4月に、ウクライナは韓国国防部に対して、150から200種類に及ぶ軍需物資を要求したとされ、その中には殺傷兵器も含まれていたと報道されました。

――韓国側が状況に応じて「段階的に」対応を検討するいう趣旨の発言をしていますが、もし派兵されており戦況がエスカレートすると、どのようなものが考えられますか。

前出した155ミリメートル砲弾はこれまでと同様に「アメリカ軍での教育目的での使用」という形でアメリカを通じて送られるでしょう。そして防御用兵器としての防空ミサイル。最終段階として攻撃型兵器、具体的には天舞(チョンム)多連装ロケット砲のような強力な兵器が俎上に上がってくることが考えられます。

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