──日本では2024年度から、医療現場の働き方改革が始まります。医療機器メーカー各社が業務効率化に資するシステムを開発していますが、GEではどのような取り組みをしていますか。
医療現場の働き方改革に向けて、厚労省はタスクシェア・タスクシフト(業務の共同化・移管)を推奨している。しかしその前に、まずはタスクをオプティマイズ(最適化)する必要がある。現場はシェアもシフトもしようがないくらいに忙しい。医者も看護師も無尽蔵にいるわけじゃない。
われわれが5年くらい前から力を入れているのが、「コマンドセンター」というシステムだ。複数の大病院で導入が始まっている。コマンドセンターでは、医療機器やベッドの稼働状況、医師・看護師の動きを1カ所で、リアルタイムで確認できる。これにより病院内の「資産」を有効活用できる。
今まではメーカーとして、機器を所有してもらえば「それで終わり」になっていた。だが重要なのは、納めた機器がどれだけ稼働して成果を上げているかだ。そこで、色々なセンサーをつけるなどしてモニタリングすると、稼働していない機器が見えてくる。つまり、病院内の資産に無駄がある。
忙しい看護師に喜ばれるシステムを
──稼働していないものが可視化されれば、稼働率を高められるよう、台数や配置、使い方を見直せるようになりますね。
人手についても同じだ。可視化することで、人が関わらなくてもいいところや無駄だった部分を省く。それらにより今の看護師さんの数でも十分足りますよという状況になれば、タスクのシフトやシェアができる。機器の稼働率が上がれば、病院は利益率が上がり、より高度な機器を買えるようになる。
そういうサイクルを回して、医療の質を上げながら、病院を財務面でも強化していく。医療現場の業務の最適化で、結果的に医療機器のマーケットが新しく生まれる。メーカーとして、すべきことが変わってきている。
──病院でのDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務効率化はなかなか進んでいない印象です。そのような状況を変えるために、工夫していることはありますか。
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