【産業天気図・自動車】震災影響大きく前半は減益が不可避。ただ海外需要は旺盛、後半の挽回がカギ
11年4月~9月 | 10月~12年3月 |
自動車業界の景況感は前半(2011年4月~9月)が「下向き」。東日本大震災による部品・電力供給の乱れといった影響で、各社とも営業減益は不可避な状況だ。ただ、海外の需要は旺盛であることから、下期(10月~12年3月)は震災影響が長期化しないことを前提に、「上向き」に回復する見通しだ。
3月11日に発生した東日本大震災が自動車業界へ与えた影響は大きい。自動車メーカーの被災は比較的軽微だったが、部品調達が滞り、国内の完成車工場は軒並み操業停止に追い込まれた。トヨタ自動車は3月28日から国内2工場で「プリウス」などハイブリッド車3車種の生産を始めたものの、他の工場の操業開始は4月18日にずれ込んだ。日産自動車とホンダは4月11日から国内工場の生産を本格的に再開したが、正常化にはほど遠い。例えばトヨタやホンダは当面の間、5割程度の操業が続く。
およそ1ヶ月間の減産影響は、トヨタが26万台、日産7~8万台、ホンダ5.8万台程度に及ぶと思われる。また日本からの部品供給が滞ることで、海外生産も影響をうけており、トヨタやホンダは北米での生産縮小に追い込まれた。
4~6月期の国内生産は前年同期比半減を覚悟しなければならないだろう。ホンダの伊東孝紳社長は「6~7月にはフル生産に戻したい」と見通しを語る。ただ、今回は電子部品など一部部品に加え、鉄鋼や亜鉛、銅など生産に必要な素材の調達が難しくなっている側面があり、影響が長期化する可能性も残る。また、7月以降は東日本で電力不足による生産への影響も懸念される。
生産正常化の時期を予想することが難しい一方、新興国を中心に世界の自動車需要は強いのは確かだ。その中で前半の落ち込みを下期にどこまで挽回するかが焦点となる。今のところ、11年度通期では前年並み、もしくは前年を若干上回る販売台数を維持できるのでは、との見方が業界内にはある。一方で日本勢の世界シェアに影響が出る可能性もあり、国内はもちろん、海外生産の早期正常化がカギを握る。
(並木 厚憲=東洋経済オンライン)
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