戦争・本土復帰への率直な語り、沖縄100人の記憶 『沖縄の生活史』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『沖縄の生活史』

・『人新世の人間の条件』

・『シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』

・『中国人が日本を買う理由』

『沖縄の生活史』石原昌家、岸 政彦 監修/沖縄タイムス社 編
『沖縄の生活史』石原昌家、岸 政彦 監修/沖縄タイムス社 編(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・関西大学客員教授 会田弘継

壮大な交響曲を聴く思いだ。100人が語る沖縄の戦後史を、2段組み約850ページに収めた。公文書や政治家らの証言による歴史ではない。人々による生い立ちと人生の語りだ。時代々々を生きたその時々の思いが、ぎっちりと詰まって、普通の史書では知ることのできない歴史の重さを教えてくれる。

戦争、本土復帰への率直な語り 100人の記憶が歴史の重さ表す

沖縄本土復帰50年(2022年)を機に、地元の代表的新聞社である沖縄タイムス社が、2人の社会学者との協働で生みだした大切な成果である。多くのインタビューが、親族や親しい人を聞き手として強い信頼関係に基づいて行われ、フィールドワークに熟達した研究者である監修者が「ここまで語るとは」と漏らすほどの中身となった。

22年は戦後77年にも当たった。80歳代以上の沖縄県民にとっては、戦争体験を人々に広く語りかけて残すための最後の場となるかもしれない。そうした意識が、率直な語りを促したようにも思える。

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