夫婦の公平な分担を阻む「時給プレミアム」の問題 『なぜ男女の賃金に格差があるのか』など書評3冊

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』

・『国費解剖 知られざる政府予算の病巣』

・『浪華(なにわ)燃ゆ』

『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』クラウディア・ゴールディン 著/鹿田昌美 訳
『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』クラウディア・ゴールディン 著/鹿田昌美 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・大阪大学教授 安田洋祐

男女の賃金格差の原因として、何を思い浮かべるだろうか。学歴や職業選択の違い、上司や同僚による差別、女性の交渉力や競争心の低さなどが、よく挙げられる理由だろう。しかしそれらは、少なくとも米国では格差の主な要因ではないと著者は断言する。では、答えはいったい何なのだろうか。

夫婦の公平な分担を阻む「時給プレミアム」の問題

本書は、米国における大卒女性たちの約100年分のデータと、各世代を代表する著名人のライフストーリーを重ね合わせながら、男女格差の謎に迫っていく。原題を訳すと『キャリアと家庭:女性たちの平等へ向かう100年の旅』になるが、まさに本書の内容を正確に表している。

具体的には、19世紀後半以降に生まれた大卒女性を5つの世代に分け、キャリアと家庭の両立が各世代でどう進んだのかを分析していく。例えば、著者自身も該当する1944〜57年生まれのグループでは、プロフェッショナルスクールへの進学や専門的職業への就職が急拡大した。

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