夫婦の公平な分担を阻む「時給プレミアム」の問題 『なぜ男女の賃金に格差があるのか』など書評3冊

✎ 1〜 ✎ 398 ✎ 399 ✎ 400 ✎ 最新
拡大
縮小
ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』

・『国費解剖 知られざる政府予算の病巣』

・『浪華(なにわ)燃ゆ』

『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』クラウディア・ゴールディン 著/鹿田昌美 訳
『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』クラウディア・ゴールディン 著/鹿田昌美 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・大阪大学教授 安田洋祐

男女の賃金格差の原因として、何を思い浮かべるだろうか。学歴や職業選択の違い、上司や同僚による差別、女性の交渉力や競争心の低さなどが、よく挙げられる理由だろう。しかしそれらは、少なくとも米国では格差の主な要因ではないと著者は断言する。では、答えはいったい何なのだろうか。

夫婦の公平な分担を阻む「時給プレミアム」の問題

本書は、米国における大卒女性たちの約100年分のデータと、各世代を代表する著名人のライフストーリーを重ね合わせながら、男女格差の謎に迫っていく。原題を訳すと『キャリアと家庭:女性たちの平等へ向かう100年の旅』になるが、まさに本書の内容を正確に表している。

具体的には、19世紀後半以降に生まれた大卒女性を5つの世代に分け、キャリアと家庭の両立が各世代でどう進んだのかを分析していく。例えば、著者自身も該当する1944〜57年生まれのグループでは、プロフェッショナルスクールへの進学や専門的職業への就職が急拡大した。

次ページ『国費解剖 知られざる政府予算の病巣』
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内