参考になりそうなのが、横浜創英中学・高等学校の校長・工藤勇一氏が、麹町中学校の校長時代に行った改革の1つ「フレームワーク」です。当時、麹町中学校(千代田区)の1年生は、入学してすぐに「手帳・ノートガイダンス」で、A4の方眼ノートを使った基本フレームの使い方を学び、すべての授業で使っていたそうです。
方眼ノートとは、外資系コンサルタントらも使うノートの取り方で、例えばマッキンゼーでは、方眼ノートを黄金の3分割といわれるフレームに分け、「空・雨・傘」の順番で書いて問題解決をしていくそうです。空=今の状況、雨=その状況に対する解釈、傘=その解釈によりどのような行動を取るか、という順番でノート取ることで、論理的に思考し、説得力を持ってプレゼンテーションすることができます。
それを小学生でも使えるようにしたのが、『頭のいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか』(かんき出版)などの著書を持つ高橋政史氏で、麹町中学校が方眼ノートを導入するサポートをしたそうです。学校で使われた基本フレームは「授業のねらい・結論」「板書=空」「気づき・疑問=雨」「まとめ・行動目標=傘」、そして「要約」の5つ。1つの授業で、見開き1枚の方眼ノートを使ってノートを取っていきます。
工藤氏がこのフレームワークを学校に導入した目的は「大人になっても使える、再現性のあるスキルを身に付けること」だったそうですが、ある卒業生の母親は「当時仕事で忙しく、子どもの勉強を見るなんてとてもできなかったのですが、娘は麹町中学校に通っているうちに、自分から勉強するようになりました。そのうえ物事を客観的に捉え、私たち親にも論理的に自分の考えを話すようになって驚きました。娘は今でもこのフレームでノートを書いています」と言います。まさに再現性のあるスキルになっているのですね。
これからは生涯にわたって学び続けることが必要で、そのためには、学び方を学ぶことが大切だといわれています。子どもたちの学ぶ意欲を引き出すためには、「頑張れ!」とか「勉強しなさい!」という叱咤激励ではなく、生涯使える再現性のある勉強の仕方を教えていくこと。そして「わかる!→楽しい!→もっと勉強したい!→成績が上がる!→さらにやる気が出る!」というよい循環を起こすためには、周囲の温かい励ましが大切ではないでしょうか。
実は私も最近このノートの書き方を学んで仕事で使い、とても役立っているので勉強のやり方の1つとしてノート術をお伝えしました。皆さんがこれまでにやってよかった勉強方法にはどんなものがありますか?
(注記のない写真:aijiro / PIXTA)
執筆:教育ジャーナリスト 中曽根陽子
東洋経済education × ICT編集部
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