初めて「ウェルビーイング」掲げる学部を立ち上げる武蔵野大学の狙いと本気度 次期教育振興基本計画の柱の1つとしても注目

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ウェルビーイングとは「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあること」(日本WHO協会訳)をいう。次期教育振興基本計画でも、ウェルビーイングは1つの柱に据えられている。そんな中、武蔵野大学は2024年4月にウェルビーイング学部を立ち上げる。いったい何を学ぶ学部なのか。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が取材した。

なぜ「ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科」なのか

ウェルビーイングはこの連載のテーマですが、このたび、日本いや世界で初めて、ウェルビーイングを学部名に掲げる大学が生まれると聞き、そのプレス発表に行ってきました。

ウェルビーイング学部を立ち上げるのは、武蔵野大学。プレス発表当日は、武蔵野大学学長の西本照真氏、学部長に就任予定の前野隆司氏(現・慶應義塾大学 大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授)、ゲストスピーカーとして東京大学教授で元・文科副大臣 鈴木寛氏が登壇。そして、新学部教員に就任予定の島田由香氏が和歌山からオンラインで出演しました。

いったいどのような学部になるのか、その狙いはどこにあるのかをレポートします。

中曽根陽子(なかそね・ようこ)
教育ジャーナリスト/マザークエスト代表
小学館を出産で退職後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子ども達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの書籍をプロデュース。その後、数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクト」であり、そのキーマンであるお母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)、『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)などがある
(写真:中曽根氏提供)

武蔵野大学は、国際的仏教学者・高楠順次郎氏によって設立され、2024年に創立100周年を迎える総合大学です。吉祥寺と有明のキャンパスに12学部20学科、13大学院研究科を擁し、21年度には、ヤフーの伊藤羊一氏を学部長に迎えアントレプレナーシップ学部を立ち上げたことで話題になりました。また、大学の前身でもある武蔵野女子学院から校名を改め共学化した武蔵野大学中学校・高等学校も、中学受験において注目校になっています。

そんな攻めの姿勢を見せる武蔵野大学が100周年事業として満を持して立ち上げるのが、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科です。しかし、たぶんこの記事を読まれる大半の方が、ウェルビーイング学部と聞いて、「いったい何を学ぶ学部なのか」と思われたことでしょう。

ウェルビーイングとは、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあること」(日本WHO協会訳)を表していますが、前野氏は「満たされているというより、Well-being=よい状態と考えるのが妥当だ」と言い、要素として狭義の健康・幸せ・福祉があると説明されました。

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