最高検が電磁的記録媒体などの保管を厳格化、大阪地検のFD改ざん事件受け
大阪地検特捜部のフロッピーディスク(FD)改ざん事件を受け、最高検察庁は4月6日、FDや外付けハードディスク、USBメモリ、メモリーカードなどの電磁的記録媒体の原本の取り扱いを厳格化する方針を明らかにした。
6月1日から押収した電磁的記録媒体の原本はただちに内容の精査・検討を必要とするかどうかを選別する。選別する者はケース・バイ・ケースだが、最終的には主任検事。「必要あり」と判断された場合はただちに複写物を作成し、原本は封筒や箱に封印のうえ、保管する。
複写が技術的に困難な場合や量が膨大で時間的に複写が困難な場合は、例外的に、複写せずに原本を精査する。この場合は専用ソフトを用いて書き込み防止措置を施したうえ、スタンドアローンのパソコンで、押収した記録の内容を精査する。フロッピーを改ざんした大阪地検特捜部の前田元主任検事は自前のパソコンを持ちこんで改ざんをしたが、自前のパソコンを職場に持ちこんではいけないというのは、別途、通達済み。
ただちに内容の精査・検討をする必要がないとされた電磁的記録媒体の原本は、ただちに封印をし保管する。その後、精査・検討の必要が生じた場合は、開封経緯報告書を作成し、剥離した封印を同報告書に添付することとする。
このほか、調書作成時の取り調べメモが大量に破棄したことを法廷で問題視されたことを受けて、「原則廃棄」としていた今までの方針を飜し、4月11日から「念のために保管」とすることとした。捜査の秘密の保持や関係者の名誉、プライバシー保護の観点から原則廃棄としたことは「法律論として間違っていない」(最高検察庁の池上政幸刑事部長)として、これまで出されている通達は変えないものの、「刑事部長事務連絡」として6日に発出することで、通達の解釈を変えた。
これで、被告が全面的に容疑を認めて略式命令や即決裁判に至る特殊な場合を除き、取り調べメモは、書き殴りのものも含めて、原則保管されることとなった。
ただし、電磁的記録媒体の原本保管同様、メモの廃棄を最終的に判断するのは主任検察官。原本やメモの保管手順をどんなに詳細に決めても、今回のように主任検察官が意図的に廃棄するのを完全に排除する手立てはなさそうだ。
(山田 雄一郎=東洋経済オンライン)
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