中国の国内自動車会社の市場シェアは2022年の第4四半期に前年の47%から52%に上昇したが、これは主にEV販売が大幅に増えたことが関係している。最も売れているブランドは、ウォーレン・バフェットが早くから投資している比亜迪(BYD)で、同社の市場シェアは4年前の2.1%から10.3%にまで拡大。VWを抜いて、中国市場のトップを走る。
ほかの外国メーカーほどではないが、VWもシェアを落としている。同社は、新型EVセダン「ID.7」を世界初披露する場所として上海モーターショーを選んだ。
中国市場の動向に懸念を募らせるVWは、VWグループとVW、アウディ、ポルシェ・ブランドの役員を上海モーターショーに参加させるため、ドイツから上海に飛ぶチャーター機を2便手配したと、同社の内情に詳しい人物が匿名を条件に語った。VWは、同モーターショーの出張手配についてはコメントしなかった。
EV専業のテスラはこのところ中国のEVメーカーほど販売が伸びておらず、値下げに踏み切ることとなったが、それをきっかけに業界では値下げ競争が起きている。
外国ブランドのEVは「時代遅れ」
EVへの段階的な移行を望むVWやGMなどの外国メーカーは、ガソリン車とよく似たデザインのEVを投入しているが、中国の消費者はそういった車種ではなく、EVの中でも外装や内装がとりわけ派手な車種に引き寄せられている。
ポルシェをこよなく愛するツァオは、外国メーカーのデザインの多くは退屈だと切り捨てる。
「アメリカのメーカーも、そしてドイツのメーカーでさえも、大きく出遅れている。同じ時代に生きているとは思えないほどだ」とツァオ。
そうした変化は、上海などで開催される自動車ショーの展示スペースをめぐる駆け引きにも表れている。数年前まで中国の自動車メーカーは、メルセデス・ベンツのような外国ブランドの近くに展示スペースを確保しようと競い合っていた。そうすれば、外国ブランドに群がる中国の自動車購入者も、ついでに国内ブランドの展示車を見てくれるのではないか、という期待からだ。
ところが、今では中国のEVブランドの近くに他社が展示スペースを設けたいと考えるようになっている、とクライスラー・チャイナの元CEOビル・ルッソは言う。
「最もホットなEVを持っているのは中国メーカーであり、誰もが彼らに近づきたがっている。今の外国メーカーに、そこまでのオーラはない」
(執筆:Keith Bradsher記者)
(C)The New York Times
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