外車はいらん!中国自動車市場に起きている異変 リッチな消費者は国産EV車を選ぶように

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中国で昨年販売されたEVの8割以上は国内メーカーによって製造されたものだった。昨年秋には、ガソリン車の月間販売台数でも、中国メーカーが外国メーカーを追い抜いた。

「中国の自動車メーカー、中でもEVセグメントの継続的な発展により、中国市場における多国籍企業のシェアは今後も低下し続けるだろう」。コンサルティング会社アリックスパートナーズの上海オフィスでマネージング・ディレクターを務めるスティーブン・ダイアーはそう話す。

EVシフトで「外車」のシェアが急低下

外国メーカーは中国で問題に直面する一方、ヨーロッパとアメリカでEVへの迅速なシフトを迫られてもいる。ヨーロッパ連合(EU)とカリフォルニア州は、2035年までに新車販売のすべてをゼロエミッション車にするよう求めている。加えてバイデン政権は4月、2032年までにアメリカで販売される新車のおよそ3分の2をEVとすることを事実上義務付ける排ガス規制案を発表。一部の自動車メーカーからは、厳しすぎるという不満が上がっている。

2018年に中国がその技術力を評価し、歓迎したテスラのような少数の例外を除き、中国政府は外国企業に中国の自動車メーカーとの合弁を通じて事業を行うよう強制してきた。過去40年にわたって多国籍企業は中国の自動車エンジニアを一世代分育成。そうしたエンジニアの多くが今、高い競争力を持つ中国国内のライバル企業で働いている。

ガソリン車の販売が縮小し、EVの販売が盛り上がる中、外国メーカーの合弁会社が販売する自動車の台数は激減している。昨年、アメリカにおけるEVの販売シェアは6%にも満たなかったが、中国ではほぼ4分の1となり、今年末には3分の1を超えると予想されている。

フォード・モーターが2016年と2017年に中国で販売したピックアップトラックは100万台だったのに対し、昨年はわずか40万台。韓国のヒョンデ(現代自動車)は2016年に中国で180万台を販売したが、昨年の販売台数は38万5000台にとどまった。

かつてドイツのフォルクスワーゲン(VW)と市場の主導権を争ったゼネラル・モーターズ(GM)は、中国の販売台数の半分近くを失った。44%の株式を保有する合弁会社、五菱(ウーリン)がなければ、さらにひどい状況になっていただろう。ウーリンは4800〜2万1800ドルという超低価格のピックアップトラックやマイクロバンを販売しており、利幅は薄い。

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