井上:協業の狙いは会社によってさまざまなんですか。
山田:例えばある会社からは、安定調達に関する相談を受けています。
海外からの輸入に頼っている植物や、後継者不足で将来の生産が不安視される植物などは、今後、ますます調達リスクが高くなっていく可能性があります。今すぐ工場の収支が合わなかったとしても、工場を建てる手前の技術を確立し、いざというときにすぐに生産を開始できるよう、今のうちから備えたいというお考えです。
新規事業として植物工場を始めたいという会社もあります。自動車部品メーカーや鉄道会社やエネルギー会社などのインフラ企業、メディア会社など本当に多様な方々から声がかかります。
そして「なぜ植物工場をやりたいんですか」を聞いてみると千差万別なんです。だから、協業するとなると、お互いに一所懸命考えて、お互い腹落ちしないと駄目だと感じています。
そういう中で描いていくのがビジネスモデルだと考えています。これが大変で、相手があることだし、一義的に「これです」と自分たちだけでは描きにくい。明日出会う方が、思いもしないアイデアを持っていて、事業の可能性が一気に広がるかもしれません。
だから私は、先生がご専門にされているビジネスモデルというのが好きではないんです(笑)。今日描いたビジネスモデルが明日にはもう古くなっているくらいの方がワクワクしますよね。
ビジネスモデルは類型化の途上
井上:それは困りましたね(笑)。ただ「植物工場」というのは新しい事業なので、ビジネスモデルのドミナントデザインが定まっていないのは当然です。
山田:そうなんです。ものすごく流動的なんですよ。こちらの都合で描いても、パートナー企業が何をしたいかによって全然絵が変わってきちゃう。
いまは、明確なビジョンを共有して一緒に取り組める人たちを探しています。その中から、徐々に類型化して、互いにWin-Winになるパターンを確定していくことになると思います。
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