しかし、周囲の友人知人は結婚相手を見つけたというマッチングアプリでは、散々な結果だったと明かす。「財布を忘れた」と謎の言い訳をして純子さんにデート代を支払わせてお店の領収書は欲しいと要求する人、連絡が途絶えがちだったのに「明日、羽田空港に着くから迎えに来て」とメッセージを送ってくる人。
「私はプロフィールを書くのが苦手なので、変な人ばかりを引き寄せてしまっていたのかもしれません」
加えて、純子さんの見た目である。遊び目的だという印象を与えたのかもしれない。明らかに不誠実な態度の男性ばかりと会い、純子さんは職場の独身男性との共通点に気づいた。
「一見真面目そうに見えても、実際はすごく女遊びをしているんです。私の勤務先は30代でも上にいければサッカー選手並みにお金をもらえるので、タガが外れてしまうのでしょうか。性格もよい人のほとんどは20代のうちに結婚しています」
自分に合うパートナーの人柄を悟った頃の食事会で
何度か嫌な体験をして、純子さんは自らの間違いも知る。自他に関する認識が甘く、「彼氏だったらお金を持っているほうがいい」ぐらいの感覚で婚活を始めてしまったことだ。人生のパートナーとしては、競争好きの精力的な人ではなく穏やかで誠実な人が自分には合っていると悟った。
そんなときに出身高校つながりで知り合った10歳年上の女性から「飲み会」に誘われた。都内の国立大学で働いていた頃の知り合いとの男女3対3の食事会だという。参加したところ、「大学の研究室」は世間ずれしていないよき独身男性を見つける穴場だと純子さんは感じた。
「北京大学の大学院にも留学経験があるとか、超高学歴。それなのにピュアな人たちが多いからです。自分の(婚活市場における高い)価値がわかっていないのだと思います」
婚活の場で苦汁をなめていた純子さんは自分がとるべき行動がわかっていた。男性陣の中では最も年上で、博士課程を終えた後は飲食店チェーンに勤務していた隆明さんに狙いを絞ることだ。
「ほかの2人は私よりも5歳ぐらい年下で、結婚は明らかに考えていない様子だったからです。35歳になって切羽詰まっていた私には対象外。夫はカッコよくはないけれど面白い感じだなと思いました」
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