スーパー、GMSは専門店に勝てるのか 「衣食も雑貨も楽しく買う。GMSへは行かない」の声

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ドンキ流の品ぞろえで若年層を取り込む

浦和原山店は地下1階が食品フロア、1階は衣料品や家具、家電などの生活用品に加え、軽自動車も売られている。2階に上がると雰囲気は一変。文房具や生活雑貨に加え、ブランド時計やバッグ、レジャー用品などの話題商品をジャングルのように積み上げる「圧縮陳列」が姿を現す。下階はGMS、上に進むにつれドンキ色が濃くなるイメージだ。

衣料品売り場も、長崎屋時代は中高年向けが大半だったが、今では子供服や若者ファッションを拡充。客層が30代前半の男女中心となり、若者の集客にも成功している。

店舗運営もうまく“割り切り”がされている。食品フロアでは、野菜や魚など生鮮食品売り場の一部を、外部テナントが運営する。「ドンキは生鮮を扱った経験がない。ノウハウの蓄積にも時間がかかる。それまでは無理をしない」と関口副社長。

浦和原山店には、2階に100円ショップ「ザ・ダイソー」が入居している。これも割り切りの一種だ。ドンキとは正面から競合するが、集客のためには躊躇なく活用する。

長崎屋全体の前10年4月期営業損益は18億円の赤字だったが、MEGAドンキへの転換や不採算店の整理が進み、今期は黒字化を見込んでいる。来期からは業態転換だけでなく、新規出店も進める意向だ。

イオンやヨーカ堂など大手GMSの斜陽は、新しいカテゴリーキラーに売り上げを奪われる形で、数十年かけて段階的に訪れた。最初は家電や雑貨、次に衣料品や靴売り場で顧客が流出したのだ。

ただ、市場縮小が始まった1980年代には、GMS側の危機感はまだ薄く、むしろ出店の拡大や、コスト削減だけで乗り切ろうとしたフシがある。それが、現在の苦境をより深刻なものにしている。

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