19歳で起業。Z世代の経営者が生み出す斬新なホテルの裏側には、巧みなマーケティング戦略がある。

石川県金沢市に構える「香林居」。蒸留所を併設するブティックホテル。全18室、1泊3万3000円から(時期によって宿泊費は変動、写真:水星)
「ホテルはポテンシャルがあるのに、過小評価されている。『ホテルって、こういうことができるやん』というような、社会に気づかれていない、未知なる可能性を見つけて、世の中に提示していきたい」
複数のブティックホテルを運営するスタートアップ「水星」の龍崎翔子代表取締役CEO(最高経営責任者)はそう語る。龍崎氏は東京大学在学中の19歳のときにホテル企画・運営のL&G GLOBAL BUSINESS(現水星)を立ち上げ、ホテルプロデューサーとして同社を率いてきた。水星は現在、全国で計4件のホテルを運営している。
「顕示的消費」の場としてのホテル
水星が運営するホテルは、全部屋にレコードプレイヤーを装備した「HOTEL SHE,OSAKA」(大阪府大阪市)や、九谷焼をはじめとする世界の工芸品を扱うギャラリーをリノベーションした香林居(石川県金沢市)といった、これまでになかったコンセプトのものばかりだ。
龍崎氏はホテルで新しい領域を開拓する理由について、次のように話す。