ジープのコンセプト7台が「遊び心」でしかない訳 V8からピュアEVまで“ジープのお祭り"で披露

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後部にスペアタイヤを背負うジープ独特のスタイルを継承。試乗時は車体後部のオーバーハングをできるだけ短くして、岩場の急斜面で地面とこすれないようにしていた。

荷室を大きく使いたいときは、スペアタイヤを車体外側にひょいと出せることもおもしろい。開口部が大きいから可能なアイディアで、「ジープの多様性の1の象徴」というデザイナーの言葉に、私も「なるほど」と思った。

オーバーランド=車中泊旅のためのワゴン

最後は「ジープ・グランドワゴニア・オーバーランド・コンセプト」。全長5.45メートルの7人乗りモデル「グランドワゴニア(日本未導入)」をベースに、キャンパーが強い興味を惹かれそうなコンセプトモデルだ。

巨大なSUVボディにルーフトップテントを装備(写真:Stellantisジャパン)

車名にあるオーバーランドとは、林の中や野原、海岸などにクルマを停めての車中泊旅のこと。それを趣味にする人は、オーバーランダーと呼ばれる。

SUVのグランドワゴニアを使った今回のコンセプトモデルは、ルーフトップテントをそなえる。このテントは、毒虫や動物などから身を守れると、アメリカでは人気が高い。「快適志向が強い大型SUVでもオフロードの踏破能力をそなえていたら、行動の自由度が上がるでしょう」と、ヘッド・オブ・デザインのアレン氏。

テントであることを感じさせない快適なルーフトップテントの内部(写真:Stellantisジャパン)

レッドテイル・オーバーランドが手がける「スカイロフト」なるテントは、カーボンファイバーの構造材をもっており頑丈で、しかもエアコンや電源も装備と高品質だ。エンジンは、「ハリケーン」と名づけられた3.0リッター直列6気筒ツインターボ。クルマ自体がもともとオンロード用に開発されたものなので、舗装路面では快適だった。

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このコンセプトモデルは、悪路走破性の高い35インチ径の大型タイヤを収めるため、ベースモデルに手を入れて、ホイールハウスを大きく切り抜いている。岩場を走るには、サスペンションストロークというより、ボディ前後のオーバーハングがちょっと長すぎて、アプローチにもデパーチャーにもちょっと気をつかった。それでもよく走る。

7台ものユニークなコンセプトモデルに触れられたイースター・ジープ・サファリは、今年も実に痛快な体験であった。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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