英語教師としての経験も糧に、子ども4人東大合格「佐藤ママ流教育」確立の裏側 子育ては18歳まで、「自活」のための親の役割
子どもの教育における父親の役割は?
――子どもはそれぞれに違うとおっしゃっていますが、4人のお子さんをどのように見て、どのような関わり方をしてきましたか。
基本的には信頼関係を構築するようにしてきました。私の場合は、3男1女がいますが、小学6年生までは男女の区別はいっさい考えずに同じように勉強させました。でも、中学生になると性別の差が出てきます。女の子はよく寝るし、体力がなかったですね。あとは、長女にはより手厚く算数を教えました。私は専業主婦でしたが、これからの女性はもっと社会に出て仕事をしていくことになる。そうした社会で男性と対等に働いていくには、女性が苦手といわれる理数系を勉強すべきだと考えたからです。
面白いことに私の子どもたちには反抗期がありませんでした。母親も子育てで努力しているから、子どももありがたいと思っていたのか(笑)、不思議とありませんでしたね。ただ、もし子どもが反抗期に入ったとしても、だからといって、勉強しないのはおかしい。勉強と反抗期はあくまで別ものなんです。
――勉強以外に運動やスポーツにも取り組んだのでしょうか。
スポーツはさせたほうがいいでしょうね。体を動かすことは大事なことです。私の場合は4人子どもがいたので、小学校まではみんな同じスイミングスクールに通わせました。中学生になってからは、長男はサッカー、次男は野球、三男は卓球、長女は水泳をしていました。子どもたちは早朝練習にも参加していましたよ。
大学に入学して長男と次男、長女は同じ競技を続け、三男はアメリカンフットボールをするようになりました。よく運動部に入ると帰宅しても疲れているから、すぐに寝てしまって勉強できないといわれますが、もし運動部を辞めたからといって、辞めた時間を勉強に充てるとは限りません。むしろ、私の子どもたちは、運動部で真剣に練習して、帰宅して手のひらを返すように勉強していました。メリハリをつけるのがうまかったと思います。得てして、やる気がないと勉強できないと子どもは言いますが、やる気は関係ない。やらなければいけないのだから勉強しなさいと私は言っていました。
――子どもの教育における父親の役割については、どのように考えていらっしゃいますか。
これは家庭によって異なると思いますが、私は専業主婦だったので、私がすべて子育てについては責任を持っていました。教育方針も私が決めて、夫はいっさい口を挟まない。私がバックアップしてほしいときだけ、夫には私のサポートをしてもらいました。
夫は子どもたちの通知表を見たがりましたが、見せませんでした。私は通知表を見て、褒めるでも怒るでもなく、子どもたちには、いつも「お疲れさま」とだけ言っていました。通知表はあくまで他人の評価にすぎません。私は兄妹間で何事も比較をしないという覚悟を持って、いつも言葉には注意していました。でも夫は余計なことを言うかもしれない。だから、見せなかったんです。
――今後のお子さんの進路について、母親としてどう関わっていきたいとお考えですか。
今年3月に娘が大学を卒業して社会人(研修医)になったので、私の子育ては完全に終わったと思っています。これからどうしようかなあ(笑)。今は教育環境が激変している時代。そんなときに若いお母さんがどんな教育をすればいいのか。どんな子育てをすればいいのか。そんな相談やアドバイス、講演をしていければいいかな。そんなことを考えていますね。
もし今後、子どもたちから自分の将来の進路について報告を受けたときは、驚いたり、反対したりしないようにしようと心がけています。母親である私だけは「いいんじゃない」「面白いんじゃない」と肯定してあげようと思っています。周囲が反対しても、母親が肯定してあげれば、子どもは前に進むことができる。それがこれからの私の仕事だと思っています。
(写真:すべて佐藤氏提供)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら