英語教師としての経験も糧に、子ども4人東大合格「佐藤ママ流教育」確立の裏側 子育ては18歳まで、「自活」のための親の役割
よく親は「こんな大人になってほしい」「こんな職業に就いてほしい」と願うものですが、そもそも親と子どもはまったく別人格です。子どもは親とまったく違う人生を歩んでいく。ですから、生きていくための仕事を選ぶときに、子どもたちの選択肢を広げることが親の仕事だと考えたのです。

大分県出身。津田塾大学卒業。大分県内の私立高校で英語教師として勤務。結婚後、夫の勤務先の奈良県に移り、専業主婦に。長男、次男、三男、長女の4人の子どもを育てる。長男、次男、三男は灘中学校・高等学校を経て、東京大学理科III類に進学。長女は洛南高等学校附属中学校・高等学校を経て、東京大学理科III類に進学。現在、長男、次男、三男は医師として活躍。長女は医学部を卒業して研修医として働いている。その育児法、教育法に注目が集まり、全国で講演を行う。『3歳までに絶対やるべき幼児教育』(東洋経済新報社)ほか著書多数
――公文式は1歳半から、3歳までに童謡・読み聞かせ1万回、リビングでの勉強の習慣化、その一方で早期英語教育は必要ないなど「佐藤ママ流」の数々の子育て法、勉強法があります。こうしたご自身の教育法をどのように確立していったのでしょうか。
長男が生まれてから、どう育てようか考えました。高校3年生までは家にいるだろうけど、その後は自分の人生に向かっていく。そう考えると子育ては0歳から18歳までかな、そう定義することにしました。そして、子どもが40歳くらいになって、仕事も家庭もあって子どももいる年になった頃に、私たち家族で過ごした18年間を振り返って「楽しかったな」と思い出してほしいなと。
では、楽しい18年間にするにはどうすればいいのか。そう考えると、子どもが生まれてからの0~18歳は十分に予測可能ですよね。幼稚園に行って小学校に入り中学、高校、大学に進学するという枠組みが決まっているから先が見えます。だからまずは、日々の基本である学校が楽しくなければならないと考えました。18年間と聞くと長そうですが、赤ちゃんのときや睡眠時間などの時間を除けば、実際には10年くらいの時間しかありません。学校に行っている時間などを考慮すれば、親が子どものためにできる時間はもっと少ないかもしれない。あっという間に18歳になると思ったんです。
――そう考えていくと確かにそうですね。
日本は小学校・中学校・高校と6・3・3制のため、私はその18年間を3年刻みで考えることにしました。まずは1歳半から公文式を始めました。1歳半でやろうと思ったことが1歳のうちにできなくても、3歳になるまでにできればいい。子育てに誤差はつきもの、3年くらいの余裕を持って育てることが大切になってくるんです。また、小学1年生からずっと続く学校での「デスクワーク」に子どもが耐えられるようにするには、環境と習慣が重要だと考えました。そのため、ゲームやテレビについては、12歳までシャットアウト。その代わり、きれいな日本語を聞かせようと童謡と絵本を読み聞かせするようにしました。
子育て中、自分の一日を振り返ると「子どもにご飯を食べさせて、トイレに連れて行って、お風呂に入れて……」と子どものお世話ばかりをしていたなとむなしくなるときってあるんですよね。親も若い時期だからというのもありますが、そうなると「大人として」の成果を求めるようにもなります。そこで私は子どもが3歳になるまでに1万曲童謡を歌い、1万冊絵本を読むということを仕事として自分に課したのです。そうやってノルマをこなしていくことが、結果として子育ての支えとなりました。子育てと仕事を分けて考える人は多いですが、意外と似ているものなんですね。
――最近は、幼少時から早期の英語教育を行う家庭が増えていますが、それには反対の意見ですね。