「値上げと賃上げは同時にすべき」と主張する味の素の藤江社長。海外の赤字国を立て直した経験を生かし、どう舵取りするのか。
――難しい時期のトップ就任でした。どのように優先順位をつけてきたのでしょうか。
確かにピンチだったが、ピンチのときこそ明るく楽しくやることを大事にしているタイプで、悲壮感はなかった。いろいろな仕事や役割を担当してきた中、最初につまずくと後に響くことが多かったので、スピード感のある経営が大事だと思っていた。
100日で成果を出すことを意識した
日本企業も現場のスピードはグローバル企業に負けていないが、彼らは経営判断も非常に速い。そこで、就任時から「100日プラン」をつくって取り組んだ。100日で成果を出すこと、中期のロードマップをつくること。徹底的に課題を洗い出すことに分けて取り組んだ。
成果を出すこととしては、コストがかなり上昇していたので、グローバルで製品ごとに状況を見える化し、素早く値上げに踏み切る仕組みをつくった。コストアップはさまざまなところで起きるので、把握をすることが大事だ。
各国のシェアの状況と、競合がいつ何%値上げしたかなどを一覧にして、役員や事業部長などで共有した。値上げが進んでいる国、政府の規制などで難しい国もあり、情報交換も進めた。値上げの第一歩を早く踏み出すようにできて、よかったと思っている。
北米の冷凍食品事業のチームが考えたのは商品の単価と総コストを示したグラフだ。上昇するコストと同じ幅で値上げが実行できていれば、マージンを確保できる。これができているかを毎月確認している。他の地域や事業でもなるべく応用するようにしている。
――業界では久々の値上げで十分な値上げができなかった、対応が遅れたとの声も聞かれました。
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