「BMW XM」ケタ違いの実力持つ超高級SUVの正体 その位置づけは既存ラインナップの延長線上にない

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アクセルをさらに踏み込むと、まず電気モーターが即座にレスポンスし、続いてエンジンが追いかけて途方もないパワーを発生し、そのまま一気呵成の勢いで速度を高めていく。電気モーターと内燃エンジンのそれぞれの旨みがうまく引き出された、先進感と快感が見事に同居したフィーリングを楽しめるのだ。

シャシーのしつけの良さも、さすがMハイパフォーマンスモデル。多種多様な電子制御システムを巧みに制御して、まるで違和感など意識させることなしに、実に2.7トンにもなる巨体であることを忘れさせるようなフットワークの良さを見せつける。

BMWを、Mモデルを愛好してきたファンも決して裏切らない

要するにその走りは、圧倒的なパフォーマンスを誇るのはもちろん、これまでBMWを、Mモデルを愛好してきたファンをも決して裏切らない仕上がりなのだ。単に新しいユーザーに迎合しようというのではなく、これまでとは違った間口を設定しながらも、その奥には変わらない芯がある。この辺り、憎らしいほどだ。

「これまで私たちBMW M社はつねに『M1の後を継ぐオリジナルのスポーツカーはつくらないのか?』と言われ続けてきました。確かに1970年代には、ラインナップのポートフォリオにスポーツカーを置くことはステータスだったと思います。ですが時代は変わりました。ハイエンドカーの世界を席巻しているのは今やSUVです。ランボルギーニ、フェラーリ、アストンマーティンのようなマニュファクチャラーもSUVを設定しています。今、われわれがM1の後継車を作るならば。XMはその答えなのです」

車名もデザインやパッケージングも、これまでのBMWの文脈から外れた亜種のようにも思えてしまうXMだが、そう言われると、とても説得力があると感じられないだろうか? ちなみに大市場である北米での反応はほぼ予想どおり(に好調)だが、ヨーロッパそしてBMWが強い韓国などでも予想を超える手応えを得ているという。さて、日本のマーケットは、ワイルドリッチな層はどう反応するだろうか?

BMW XMの価格は2130万円。国内での納車は4月後半以降にも始まるということだ。

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島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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