気配りできる上司こそ要注意の「慈悲的差別」とは 心理的安全性を高めるためメンバーとの接し方
メンバーのトリセツがあれば、「そっか、あなたはその仕事の進め方が好きなんだね。じゃあ、進め方はあなたに任せるよ」とメンバーが自分らしく力を発揮しやすい形でサポートできるし、少し進捗がゆっくりでも「彼(彼女)はじっくりと腰を据えてやるタイプだから、今は余計なことを言わずに任せよう」と判断できます。
その結果として、職場の心理的安全性は高まっていくのです。
メンバーのことはプライベートも含めて知る
職場の心理的安全性を高める目的は、仕事の成果をあげることです。だから、仕事とは関係ないこと、たとえば「昨日、何食べましたか?」とかプライベートなことまで聞く必要は必ずしもありません。
しかし相手によっては、プライベートな部分も多少は聞いておくとよい場合があります。たとえば小さい子どもを持つ人や病気の家族がいる人など、家庭の事情が働き方にも影響してくるような場合は、マネジャーも事情を知っておくことで仕事上での誤解やすれ違いを防ぐことができるかもしれません。
たとえば、幼い子どもを持つ人が、「子どものお迎えがあるから5時には会社を出たい」「家族と一緒の時間を過ごしたいから早く帰りたい」といった事情から、「仕事では効率を最優先して、きっちり定時で帰りたい」と考えているとします。
一方、僕はというと、仕事の効率は大事だけれど、効果も重要視しています。ユニークで面白いアイデアのためなら、時間を忘れてブレーンストーミングに夢中になって、「気づいたらもう終電」ということもよくあります。
メンバーの家庭の事情を知らなければ、じっくりブレーンストーミングしたい僕と、さっさと切り上げて帰りたいメンバーの間に不穏な空気が流れ、心理的安全性は下がるでしょう。でも、相手の事情を知っていれば、打ち合わせ時間を午前中に設定して、メンバーが定時で帰れるようにスケジュール調整することができます。それぞれの事情を考慮したうえで、協働によるシナジーを追い求めることができれば、心理的安全性も高まります。
また、感情的になった相手と衝突しそうになった場合でも、その背景にある事情を把握していれば、心理的安全性を確保しながら適切な対応ができます。もしかしたら、健康のことで不安があるのかもしれないし、恋人とうまくいかなくて悩んでいるのかもしれません。
その人の表面的な言動だけを見て、「あいつはやる気がない。けしからん」と腹を立てるのではなく、その人の言動の裏にある背景を知ることで、お互いの信頼と尊敬を損なうことなく適切なサポートができるのです。
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