資金繰りに窮する会社と乗り切る会社の決定的差 「無借金経営」でも手元資金が乏しいのは怖い

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仮に、金融機関が、5000万円、金利年2%、期間5年(60回均等返済)の融資を勧めてきたとします。

すると、1年目の支払利息は約100万円です。100万円という費用を支払うことの見返りに、5000万円という手元資金の安心感を得ることができるのです。

手元資金5000万円という安心感の対価として、年間100万円、月に約8.3万円の支出を高いと思いますか?

支払利息は、「手元にお金がたっぷりある」という安心感の対価として支払うものです。

そうは言っても、無限に借りる必要はありませんし、そもそも金融機関側も無限に貸してくれるわけではありません。

会社の社長にとって「この程度のお金があれば安心だ」という「安心基準」で、会社都合の借入額の上限目安を考えていきましょう。

費用と利息・経常利益に着目

指標となるのは、「年間の費用」と「支払利息および経常利益」です。

まず「年間の費用」ですが、「1年間の「売上原価」「販売管理費」「営業外費用」という3つの費用合計から、減価償却費を差し引いたお金が手元に貯まるまでは借りる」です。

これをザックリ言い換えると、「仮に1年間、収入がゼロでも、諸費用の支払いが滞らないほどのお金が手元に満ちるまでは借りる」です。

次に、「支払利息および経常利益」ですが、「支払利息(営業外費用)によって、経常利益の段階で赤字にならない範囲で借りる」です。

営業利益の段階で計上できた黒字のすべてを支払利息が食いつぶし、経常利益の段階で赤字になるという財務体質が慢性化すると、自己資本が毀損し、いずれ債務超過に陥り、会社は永続することが困難になります。

以上、売上高の季節変動の大小や減価償却費の多寡など、会社ごとに違いがありますので、すべての会社を一律に論じることはできませんが、「年間の費用」と「支払利息および経常利益」をもとに、借入額の上限の目安をイメージするのがいいでしょう。

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