ポイント経済圏をめぐり、「楽天VSペイペイ」の一騎打ちの構図が定まりつつある。ペイペイの攻勢をしのぎ、国内首位の牙城を守れるか。
「2022年度にはA社の6200億ポイントに対し、PayPay(ペイペイ)は6000億ポイント規模(見込み)に」
2月17日、QRコード決済大手のペイペイが報道機関向けの事業説明会で提示した資料には、「A社」への対抗心がありありと記されていた。A社とは、共通ポイントの発行額で国内首位を誇る、楽天グループのことだ。
共通ポイントは、複数の企業が参加する販売促進のためのプログラム。提携する企業や店舗で買い物をしたりサービスを利用したりするとポイントが付与され、お金の代わりとして使うことができる。
国内では「楽天ポイント」のほか、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の「Tポイント」や、NTTドコモが提供する「dポイント」などが代表的だ。提携先の拡大や独自の還元施策によって自分たちの経済圏内での買い回りを促し、顧客を囲い込んでいる。
ペイペイは親会社である大手キャリア・ソフトバンクの陣営に属する。2022年4月から共通ポイント「ペイペイポイント」を作り、「2023年度中には発行額で楽天ポイントを抜き、1位になる」(ペイペイ)と豪語する。
どちらが先に自身の弱みを克服できるか
実際、足元ではペイペイが急速に追い上げている。
2021年度は、ペイペイポイントの前身である「ペイペイボーナス」の発行額が4000億円だったのに対し、楽天の発行額は5300億円だった(ペイペイは3月期、楽天は12月期)。それが2022年度にはペイペイが1.5倍の約6000億円にまで急伸し、約6200億円だった楽天とほぼ並ぶことになる。
ほかのライバル勢では、dポイントの2021年度のポイント利用額が2703億円。Tポイントは公表していないものの、競合事業者の間では「年間発行額1000億円前後」との見方が強く、楽天とペイペイの“2強”が他社を大きく引き離している。
「モバイルに強いわれわれと、EC(ネット通販)・金融に強い楽天。どちらが先に自身の弱みを克服できるかの勝負だ」。ペイペイの事業推進統括本部でマーケティング本部長を務める藤井博文氏は、そう強調する。
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