モバイルへの巨額投資で財務状況が大きく悪化する楽天グループ。資金調達の選択肢が狭まる中、押し寄せる社債償還の波をどう乗り越えるのか。
「健全なバランスシートを保ちながら成長していきたい」。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は記者会見の席上、そう言い切ってみせた。
2月14日に発表した2022年12月期決算は、最終赤字が3728億円と過去最大となった。携帯基地局などの設備投資がかさんだモバイル事業で、4928億円もの営業赤字を計上したことが最大の要因だ。銀行や証券などを除く非金融事業の社債や借入金も、1.7兆円を超えた。
悪化の一途をたどる財務状況に対して、楽天が持ち出したのは、社債をはじめとした有利子負債残高の削減だ。負債膨張の原因だったモバイル事業の設備投資が「一巡した」(三木谷氏)ことを理由に、有利子負債を圧縮すると宣言した。
さらに三木谷氏は、投資家の懸念を払拭するためか、楽天銀行や楽天証券ホールディングス(HD)の上場、外部との資本提携も通じた資金調達まで匂わせる発言もしている。だが、モバイル事業の設備投資にカネをつぎ込んできた「ツケ」は、想像以上に重い。
機関投資家の間で広がる「楽天離れ」
9000億円――。これは今後3年間で償還を迎える社債の合計額だ。
モバイル事業の設備投資に当たって、楽天は資金調達のほとんどを銀行からの借り入れではなく、社債に頼ってきた。2018年12月に発行した劣後債計1820億円を皮切りに、これまで20本以上を発行。調達した資金を子会社の楽天モバイルに出資しては、基地局建設などにつぎ込んでいる。
下図は、2025年までに償還日を迎える社債の一覧だ。劣後債の繰り上げ償還も含めれば、2024年に最大3000億円、2025年に最大5000億円と、巨額の償還が待ち受けている。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら