楽天グループの赤字の元凶であるモバイル事業。2023年中の単月黒字化を目指してきたが、その姿勢がトーンダウンし始めた。一方で楽天には、そう簡単に撤退できない事情もある。
「2023年中の黒字化はまず無理だろう。会社側からも、『しょうがない』というニュアンスを感じる」。楽天グループが2月14日に発表した決算内容を見て、ある市場関係者はそう話す。
焦点となっているのは、楽天グループが巨額投資を続けるモバイル事業だ。三木谷浩史会長兼社長は以前から、2023年中の単月営業黒字化を掲げ、決算資料などで目標として明記してきた。
ところが同社が2月14日に公表した2022年12月期決算の説明資料を見ると、「黒字化」の文字は1カ所のみ。時期的なメドも「フェーズ2」(編集注・2023~2024年を指す)と、あいまいだ。同日開かれた会見では、会社側から今2023年12月期の黒字化について言及することはなく、報道陣からの質疑で問われた結果、三木谷氏が「年内、なんとか頑張って目指していきたい」と述べるのみだった。
楽天グループの広報担当者は「従来の目標は何も変わっていない」と強調するものの、ここにきて、その姿勢は揺らぎつつあるように映る。
黒字化には「1000万以上」の契約が最低条件
それも無理はない。楽天モバイルの2023年1月末時点の契約数は451万。2022年1~3月期をピークに減少へと転じ、2022年7月の「0円プラン」の廃止も、顧客離れに追い打ちを掛けた。単月ベースでは同年11月に底打ちしたものの、いまだ1年前と同水準にとどまっている。
直近ではモバイル事業だけで毎四半期1000億円超の営業損失を垂れ流し、本業のEC(ネット通販)や金融事業で稼いだ利益を食い潰している。その結果、楽天グループは4期連続で最終赤字を計上。2022年12月期には3728億円と過去最大の赤字となった。
財務を圧迫し続けるモバイル事業の今期黒字化は、まさに株主や金融機関などのステークホルダーに対する「約束」でもあった(楽天グループに対する投資家や金融機関のスタンスについて詳細はこちら)。だが、業界関係者からは一様に「達成困難だ」との声が上がっている。
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