中国「ChatGPT」偽ニュース拡散で揺れる政権対応 アメリカに対抗の一方で、懸念も生まれている

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同局によると警察が捜査に着手し、文章の作成者は「社会や政府に迷惑をかけたこと」を謝罪した。

作成者に悪意はなく、ネットでは同情の声が多く上がっている。一方で多くの人がAI作成の文章だと気づかないまま拡散したことで、これまではIT業界でのバズワードだったChatGPTへの注目度や懸念が一気に高まった。

2022年11月末にリリースされたChatGPTは、誰でも試せる気軽さもあり1月時点でアクティブユーザー数が1億人に達したといわれている。だが、中国のIPアドレスや電話番号では登録できないため、現時点で中国から利用しているのは、アクセスポイントを偽装するソフトや外国の電話番号でアクセスする「IT通」に限られる。

中国政府は今のところ後押ししている

それでも、お金のにおいがする有望技術に、中国企業や投資家は我先にと飛びついている。

マイクロソフトが2月初旬に、自社の検索エンジン「Bing(ビング)」にChatGPTを搭載し、検索で圧倒的なシェアを持つアルファベット傘下のグーグルが対話型AI「Bard(バード)」を近く一般公開すると発表すると、中国では「中国版ChatGPT」の開発競争が一気に加速した。

株式市場ではAIやマイクロソフトに関係する企業の株価が連日ストップ高となり、当局が注意喚起するほど過熱している。

中国政府は2020年以降IT企業の規制を強化しているが、AIはビッグデータ、5G、ブロックチェーンと並び、次世代の覇権に関わる技術として支援している。

だからか、中国政府の代弁者的なメディアも今のところ中国版ChatGPTの開発を後押しする姿勢を見せる。

政府系経済メディアの経済日報は2月12日、「中国企業の技術力はChatGPTに2年遅れているが、中国は世界最大規模のネットユーザーと多用な応用シーンを持っており、データ蓄積環境の優位性は明らかだ。ChatGPTに追いつき追い越すこともできる」と論評した。

検索に続いて対話型AIが応用されそうな教育・研究分野でも、警戒より期待が上回っている。

上海市で教育行政を統括する倪閩景氏は寄稿で「ChatGPTの登場は教育改革の大きな機会である」「ChatGPTのような学習ツールを教育改革に活用すれば、学習の質をさらに高められる」と指摘した。

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