「BTSの事務所」が競合のドロ沼闘争に参戦のワケ K-POPの元祖事務所の経営権めぐる戦いが激化

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一方、HYBEの計画どおり、SM株を40%近くまで増やせれば、SMはHYBE傘下のレーベルの1つとなり、イ氏のレガシーをHYBEが手にすることによって名実ともにK-POPの雄となりうる。

そして、K-POP業界は大再編に呑み込まれることになる。

しかし、そのためには、いくつかの難関が待ち構えている。まず、増資によりSMの株を取得するカカオの動きがカギとなる。同社は、2016年に韓国内最大音楽配信アプリを買収したことを皮切りに、最近では、中小の音楽事務所を次々と買収することで、K-POP業界での勢力を伸ばしてきていた。日本でも人気の6人組のガールズグループ「IVE」が所属する「STARSHIPエンタテインメント」はカカオエンタ傘下だ。

カカオとてエンタメ界での勢力を握るためには、SM株は手放せない。同社としてはHYBEが提示した1株12万ウォン以上の価格をつける道が残されれていると言われ、資金力は十分とみられるが、その負担を負うかどうか。

また、イ氏が地裁に申請した仮処分が認容されれば、カカオの増資によるSM株取得は無効となり、そうなればカカオは他の”出物”を探すだろうというのがもっぱらの見方だ。

日本の芸能界にも影響が及ぶ可能性も

もう1つ、HYBEが提示した一株12万ウォンという価格について問題を提起している「アラインパートナーズ」の動きも注目される。また、仮に40%近いSM株を保有することになれば、公正取引委員会による「企業結合審査」を通過しなければならない。

SM社員の間では、HYBEによる買収の動きへ反発する声が大きくなっていると報じられる一方、敵対的M&Aはカカオのほうだとするイ氏ブレーンの声も上がるなど、内紛は激化している。

いずれにしても、このひと月の動きが行方を決める。来月3月中旬以降に行われる予定のSMの定期株主総会ではどんな発表が飛び出すのだろうか。

アメリカのCNNはHYBEとSMのこの動きについて、「ソニー、ユニバーサル、ワーナーミュージックのビッグ3のレコードレーベルと肩を並べることになるかもしれない」と報じている。

HYBEは日本でも「HYBE JAPN」が昨年末、初の9人組のボーイズグループ「&TEAM」をデビューさせたほか、最近では元欅坂46の平手友梨奈が移籍するなど、日本での活動も活発化させている。グローバル企業を目指すHYBEの動きは日本の芸能界にも大きな影響を及ぼすことになるかもしれない。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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