ジブラルタル海峡「鉄道トンネル」は実現するか 欧州とアフリカを直結、計画は40年以上前から
欧州大陸とアフリカ大陸を隔てるジブラルタル海峡。以前から計画されてきた、この両岸を結ぶ海底鉄道トンネルの実現に向け、スペインとモロッコとの交渉が新たな段階へと進む兆しを見せている。実現すれば、両国間の移動時間短縮や輸送コストの削減などが図れ、双方にメリットがあると期待される。スペインのラケル・サンチェス運輸相は「ヨーロッパとアフリカにとって”戦略的”なもの」と実現に向けた意欲を示している。
ジブラルタル海峡のトンネル建設計画は、1979年の「スペイン・モロッコ共同宣言」の調印までさかのぼる。その後、世界銀行、欧州投資銀行、アフリカ開発基金などから融資の提案を受けていたにもかかわらず、両国間の外交問題により長らく棚上げとなっていた。しかし、最近の外交関係の改善に伴い、このプロジェクトが息を吹き返してきた。スペインは2022年3月、西サハラ紛争に関し、モロッコの自治計画への支持を表明。これを踏まえ、両国は協力関係の改善に努めているところだ。
想定仕様はユーロトンネルそっくり
これまでに発表された資料に基づく「想定されるトンネルの構造」によると、起点から終点までは約42km、陸上部を含むトンネルの全長は約38.7kmで、海底部分は約28kmになるという。2本の単線鉄道トンネル(内径7.5m)を造り、その中間に非常用トンネル(内径4.8m)を掘る。非常用トンネルと鉄道トンネルとの間隔は27mで、両者の間には非常時の脱出口として340mごとに細いトンネルを設ける。
こうした仕様は、国際高速列車ユーロスターが走るドーバー海峡の「ユーロトンネル」と酷似している。海底部分の長さを比べると、ユーロトンネルは37.9kmで10kmほど長い。
しかし、ジブラルタル海峡はその深さに加え、風や波のパターンが複雑なことから、建設にはさまざまな困難が予想され、未知の部分も大きい。
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