オープンAIの広報担当者は、同研究所のプログラムが人々を惑わす目的で利用される可能性があることは認識しており、チャットGPTが生成したテキストの識別を助ける技術も開発中だと述べた。
多くの大学では今、チャットGPTへの対応がトップの課題に躍り出ている。大学の運営サイドはタスクフォースを設置するなどして、対応策について全学的な議論を行っている。その大半は、チャットボットへの適応をめぐるものだ。
ワシントンDCのジョージ・ワシントン大学、ニュージャージー州ニューブランズウィックのラトガーズ大学、ノースカロライナ州ブーンのアパラチアン州立大学などでは、教授たちが資料参照可能なオープンブック方式の課題を段階的に減らすようになっている(コロナ禍のなかで主流となっていたオープンブック方式の課題は、チャットボットの不正には弱い)。その代わりに選ばれているのが、教室内で行う課題、手書きの論文、グループワーク、口頭試験などだ。
剽窃検知システムによる「監視」も強化
「これこれについて5ページ書け」といった課題は過去のものになりつつある。チャットボットには対応できないと思われる巧みな質問を用意したり、学生に自身の生活や最近の出来事について書くように求めたりする教授もいる。
「学生が剽窃を行うのは、課題が剽窃可能なものになっているからだ」。フロリダ大学の英文学科長、シド・ドブリンはそう話す。
大学は、AIツールとの付き合い方について学生を教育することも考えている。ニューヨーク州立大学バッファロー校(バッファロー大学)とサウスカロライナ州グリーンビルのファーマン大学は、新入生に学問的誠実性などの概念を教える必修科目に、AIツールに関する議論を盛り込む予定だと述べた。
「シナリオを用意して、具体例を学生に見せる必要がある」。バッファロー大学で学問的誠実性の問題を担当するケリー・アフーナは、「問題が起きたときに捕捉するのではなく、問題が起こらないようにしたい」と話す。
AIツールの悪用が止まることはほとんど期待できないため、検知ツールによって悪用を一掃する予定だと語る教授や大学もある。盗用・剽窃検知サービスの「Turnitin(ターンイットイン)」は、チャットGPTを含め、AIによって生成された文章を識別する機能を今年中に取り入れる予定だとしている。
さらにAI生成テキストの迅速な検出を約束するプログラム「GPTゼロ」の開発者でプリンストン大学4年のエドワード・ティアンによると、ハーバード大学、イェール大学、ロードアイランド大学などの教員6000人以上がGPTゼロの利用登録を済ませているという。
(執筆:Kalley Huang記者)
(C)2023 The New York Times
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