米インフレ鈍化や日銀政策修正観測で円は底堅い 米CPI発表控えポジションを小さくしている
東京外国為替市場では円が1ドル=132円台前半中心に推移。堅調な株価を背景にリスク選好の円売りが優勢となる場面も見られたが、12日に注目の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて、米インフレ鈍化の可能性が意識される中、下値は限定的となった。
大和証券金融市場調査部の多田出健太シニア為替ストラテジストは、「米雇用統計後の円高の揺り戻しの後、米CPIがどうなるかに関心が集まっており、それが出るまでは動きづらい」と説明。米CPIについては「方向感としては景気悪化とインフレ鈍化という組み合わせへの警戒の方が強い」と話した。
12日発表の昨年12月の米CPIは、1月31日-2月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合前に当局者らが確認する最後の主要経済指標の一つ。過去2回は市場予想を下回り、米金利低下・ドル下落につながった。
10日の米株式相場は上昇。米CPIが一段と鈍化し、米利上げペース減速への論拠が強まるとの見方が広がった。11日の日本株も上昇した。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは「株もしっかりなのでドル高・円安方向になっているが、まだ小動きの範囲内」とした上で、「明確にインフレ鈍化が見えてくれば、米利上げ停止と早期の利下げ局面入りを織り込む動きが進みやすい状態になっている」と指摘。「米CPIが市場予想より弱かったときのドル売りの方が、多少強かったときのドル買いより激しく、大きな反応になりそうな相場に見える」と述べた。
一方、大和証の多田出氏は、米CPIの下振れリスクの方に市場参加者の意識が向かっているため、「上振れたときの影響の方が大きい」とし、「中長期で見たらドル安方向という中で」、一時的にドルが反発する可能性もあると予想。それだけに、米CPIを見極めるまでは「攻めづらい」と話した。
米10年債利回りは低下。前日に3.62%前後へ上昇したが、アジア時間の取引では3.59%前後で推移している。
背景
- 12日発表の米CPI、ベアマーケットラリー後押しも-JPモルガン
- 市場はまたもインフレを過小評価-米欧の大手運用会社が警鐘
- ボウマンFRB理事、一段の利上げ必要-ピーク水準でしばらく維持を
- 世銀、2023年の世界成長率予測を下方修正-世界的リセッション警告
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著者:小宮弘子
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