山手線渋谷駅「ホームが1つ」になった工事の全貌 スクランブル交差点近くのガードも桁を移動
工事は1月6日の22時ごろスタート。同7日0時ごろには、渋谷の「名所」でもあるスクランブル交差点と宮益坂下交差点付近に通行止めの柵が立ち並んだ。この区間をまたぐ山手線のガード「宮益架道橋」の桁を移動する作業のためだ。
今回の工事では、従来の外回りホームを一部撤去するとともに、同線の線路を最大で西側へ約2.7m移設。そのうえで内回りホームを西側へ最大3.2m拡幅し、内・外回り一体のホームとした。外回り線路を移設するのはホーム部分だけではなく、宮益架道橋なども含め延長約580mに及ぶ。同架道橋はジャッキアップして桁を移動。資材の運搬に大型のクレーンを使うため、7日の0時~9時ごろと同日22時~8日9時ごろの2度にわたって下を通る旧大山街道を通行止めにした。
0時を過ぎても週末のスクランブル交差点付近は人通りが絶えない。架道橋付近や駅前でう回路を案内する係員らが「こちらをご通行ください」などと歩行者に呼びかける中、定刻0時33分よりやや遅れて、従来の外回りホームを使う最後の電車、池袋行きの終電が出発。午前1時ごろには通行止めの宮益坂下交差点付近で待機していた大型のクレーン車がスクランブル交差点側に移動して作業を始め、同20分ごろには架道橋上に架線の調整を行う作業員が乗った車両が現れるなど、工事が本格化していった。
ホームの屋根は事前に準備
線路移設などの作業は基本的に人力が主体だ。JR東日本によると、工事には約4000人が参加した。
限られた時間内ですべての作業を終えるため、さまざまな事前準備も行っている。例えば旧外回りホームの3・4号車付近の屋根は、1月5日の時点で撤去していた。この屋根は、外回りの線路移動にあわせて架線を移設する際に支障となる部分。工事当日に撤去作業をすると、「9日初電までの間に切り換え工事を完了させることができない」(JR東日本)ため、事前に取り外した。
また、新しいホームの屋根の一部は事前に壁の状態で施工しておき、回転して跳ね上げることで設置。線路移設に伴って撤去する外回りホームの仮ホーム化や架線の移設準備なども前もって実施した。架道橋の移動やホームの撤去、拡幅などの作業についても時間内で完了するよう、リハーサルや試験施工を行ったという。
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