2022年「炎上した広告」主な17案件に見る痛い教訓 「コンプライアンス社会」で進行する緩やかな分断

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広告表現に関しては、2017年に広告表現に関して大きな炎上が複数起きたが、それ以降、企業側もかなり慎重になってきている。最近の炎上は、広告表現の「ど真ん中」ではなく、その周辺で起きているものが目立っているし、その内容も批判一辺倒というよりは、賛否両論が巻き起こっているものが多い。

広告・PR関連で顕在化した3つのリスク

2022年の広告・PR関連で起きているリスクを整理すると、下記の3点となる。

1.ジェンダー表現に関するリスク

2.経営者や社員の言動による炎上リスク

3.タレント起用に関するリスク

1に関して、アニメキャラクターを活用した広告における「未成年の性的表現」の議論は、過去の記事で詳しく論じ、大きな反響もあったが、広告表現の是非については賛否両論の意見が分かれていた。

その後、12月に仏高級ブランドのバレンシアガのキャンペーンビジュアルが炎上した。幼児をモデルに起用し、ボンテージ姿のテディベアを持たせたり、複数並べたワイングラスの前で横たわる姿を表現したりしたヴィジュアルに対し、「子どもを性の対象にしている」として批判が殺到。バレンシアガ側は謝罪と広告の取り下げを行った。

尾辻かな子氏が投稿したJR大阪駅に掲出された広告(写真:@otsujikanakoより)

本件への批判の声は大きく、同社のイメージに与えるダメージも多大であったが、一方、前月のJR大阪駅のコラボ広告はそれとは対照的だ。後者は、賛否両論の意見があったし、広告代理店側は「修正を重ねており」問題ないとして取り下げは行っていない。

アニメと実写の違い、表現形式の違い、文化の違いなどを考えると、単純な比較はできないが、広告に限らず、日本でも「未成年(と思われる対象)の性的描写」に関して、規制や人々の目は年々厳しくなっている。今後さらなる配慮が求められるようになることは間違いない。

2に関しては、経営者や社員の言動がSNS上で批判を浴びるシーンは多く見られる。これまでは、いわゆるバイトテロによる騒動が目立っていたが、企業の中核に属する人物がバッシングされる最近のトレンドには、また別の要因がある。

今年、物議を醸した焼肉ライク社長やノースサンド社人事のツイッター投稿は、これまでは一定の配慮をしながら投稿してきたものが、「つい本音を漏らしてしまった」といった類のものだった。批判は浴びその規模はさほど大きくなく、「炎上した」と言ってよいかは、議論が分かれるところだろう。

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