小学校より負担減でもネガティブな印象が付きまとう「中学校PTA」のリアル 生徒会とコラボ、キャリア教育など活動に幅

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中学校のPTA。公立の場合は近隣の小学校が合わさる形で中学校が存在し家庭数が増える、子どもの成長により登下校時の見守りサポートといった活動が減るなどのことから、小学校のPTAと比較すると「PTA役員や委員の役割を担う保護者の割合が減り、活動に伴う負担が少ない」というのが一般的だ。一方で、子どもたちは思春期を迎え、親との距離を取りたがる時期になる。だからこそ、学校や地域と保護者が歩み寄ったり保護者同士がつながり合ったりすることで、子どもたちの成長を支えることができるといえる。中学校のPTAができることは何か。3つの中学校のPTA活動事例を通して考える。

小学校と比べると負担感が軽減する中学校のPTA

「PTA」というと小学校のPTAを連想する人が多いが、中学校でもPTA活動は続き、その目的は「子どもたちの健全な育成を図る」ことで、小学校と同様である。

PTA会長、副会長、書記、会計といったPTA本部役員や委員など、組織や運営方法も小学校とほぼ同様であることが多く、役員や委員選出の時期には「立候補者が出ず、くじ引きで選出された」「沈黙に耐えかねて『やります』と手を上げてしまった」などネガティブな声も聞かれる。しかし、小学校のPTAと異なり、

・ 公立の場合は近隣の小学校が合わさる形で中学校が存在することが多く家庭数が増え、PTA役員や委員の役割を担う保護者の割合が減る傾向にある。
・ 子どもの成長により、登下校時の見守りサポートなどの活動そのものが減る。

といった状況から、いわゆる“負担感”は軽減すると考えられている。とはいえ、子どもが中学生になると共働き率がさらに増加する傾向にあるため、活動の適正化、省力化は避けて通れない。

PTA会議室を開放して「おしゃべりの場」に

大本一枝(おおもと・かずえ)
逗子市立逗子中学校で、2021年度 PTA副会長を経て、22年度PTA会長。委員会の正副委員長の廃止、立候補のない委員はその年度の活動休止などの規約改正も行った。3人の子どもの母親
(写真:大本氏提供)

「PTA単体の催しをゼロから企画するよりも、学校行事などで保護者が学校に集まる機会を活用してPTA活動を行うようにしています」と言うのは、2022年度、神奈川県逗子市立逗子中学校(家庭数:302、PTA加入率:95%)でPTA会長を務める大本一枝氏だ。

大本氏は、22年2月、新入生保護者に向け学校が開催した体操服注文会の会場である体育館の一角に、「PTAなんでも相談コーナー」を設置。

「机といすを1組置き、私がそこに座っていただけですが……(笑)。お子さんが初めて中学校に入学する保護者の方は、体操服のことはもちろん、『学校にわざわざ聞くほどのことでもないけれど誰かに聞きたい』ということが少なからずありますよね。PTAがその窓口になることができたらいいなと思い教頭先生に提案したところ、ご快諾いただき実現しました」

新入生の保護者に向け学校が開催した体操服注文会の会場の一角に「PTAなんでも相談コーナー」を設置し、保護者の質問に答えた
(写真:大本氏提供)

約2時間の間に15名ほどの保護者に声をかけられ、体操服以外についてもさまざまな質問を受けたという。

体育祭や土曜日の授業参観の日に、PTA会議室を“保護者の交流の場所”として開放
(写真:大本氏提供)

「PTAは子どもたちのための活動が中心ですが、こうした保護者のサポートも大切だと思っています。今年度も継続して行う予定です」と、大本氏。

また、体育祭や土曜日の授業参観の日に、PTA会議室を“保護者の交流の場所”として開放。事前に保護者全員にメール連絡網で案内を流し、待機場所や保護者同士の交流の場所として利用してもらうよう呼びかけた。

「コロナ禍が続いて保護者同士が対面で会う機会が減る中、3年生の保護者が高校受験や志望校選びの話をしている光景が見られました。中学生という多感な時期は、進路などをめぐり、子どもだけでなく親もモヤモヤを抱えがちです。その時々にできる方法で保護者がつながれる場や機会をつくることが、保護者の不安やストレス軽減につながるのではないかと思います」

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