PTAの「外注」コスト増でもメリット多すぎる訳、「活動の精査」がポイント 保護者の負担、時間もストレスも大幅減の実際

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「子どもたちの健やかな成長」を目的に、保護者や教員が互いに協力し合い、学校行事のサポート、登下校の見守りなどさまざまな活動を行うPTA。新型コロナウイルスの影響でこれまでの活動が縮小傾向にあるものの、仕事や家庭の事情などで多忙な保護者が多い今、負担の重さはなかなか解消されない。そんな中、一部のPTAでは、これまで自分たちで行ってきた活動の一部を「外注」する動きが出始めている。実際に外注した保護者の話や、PTA活動の外注を支援する企業や団体の声を聞き、今後の活動のあり方を探る。

運動会のパトロールや「子ども安全マップ」の制作を外注

「PTA会長に就任してから、保護者の負担軽減を目的に、活動の一部を外注できないかと考えていました」と言うのは、兵庫県姫路市立荒川小学校でPTA会長を務める三木貞徳氏。20歳から小学3年生まで3人の子どもを持つ三木氏は、いちばん上の子どもが小学5年生の時に本部役員を務めた後、2014年度から16年度、2期おいて19年度から再び同校PTA会長に就任した。今年度で7期目を迎える。

三木貞徳(みき・さだのり)
兵庫県姫路市立荒川小学校 2022年度PTA会長
14年度から16年度、2期おいて19年度から再びPTA会長を務め、今年度で7期目。3人の子どもの父親
(写真:三木氏提供)

「就任当初は、『これまでの活動のやり方を変えないことがラクな道』と思う部分もあったのですが、続けるうちに全体を見渡せるようになり、PTAが抱えすぎていると思われる部分が見えてきました。これらをそぎ落とし、忙しい保護者の負担を減らしていく必要性を痛感したのです。その方法として思いついたのが、PTA活動の外注です」

初めて外注したのは、19年。荒川小学校PTAでは、運動会のパトロールを地元の警備会社にお願いしたという。

「それまでは、保護者から運動会のパトロールのお手伝いを募り、PTA本部役員が、自分の子どもの出番がパトロールの時間と重ならないようスケジュールを割り振って交替しながら行っていました。しかしこの方法だと、準備も当日も大変ですよね。そこで、運動会当日、6名の警備スタッフを雇うことにしました。費用は1日で4万円弱かかりましたが、全保護者が何の縛りもなく、子どもの運動会参観を楽しむことができるようになりました」

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デザイン会社と印刷会社に外注した「子ども安全マップ」
(写真:三木氏提供)

さらに同校PTAでは、SNSを通じてPTA活動の外注に関するサービスを知り、21年に登校班の区別や学区内の危険な箇所、「子ども110番」のお宅の場所、不審者の出没場所などをまとめた「子ども安全マップ」の制作を、横浜市のデザイン会社と印刷会社にオーダーした。

「それまではPTA役員を中心に、PTAで無償で請け負い、ソフトウェアを使って苦労しながら作っていたのですが、とにかく制作に時間を取られてしまいまして。外注により手間が省け、プロのデザイナーに依頼したことで仕上がりもよく、より見やすくわかりやすい地図になったと思います。この地図をクリアファイルに印刷して全児童1200人に配ったのですが、地図記号も入れてもらったことで、社会の授業にも使われたりするなど、学校にも子どもたちにも喜んでもらえました」

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