小学校より負担減でもネガティブな印象が付きまとう「中学校PTA」のリアル 生徒会とコラボ、キャリア教育など活動に幅

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社会で活躍する大人による講演「おもしろい仕事人がやってくる!」、自分の好きなことや関心のあることを知り自分がわくわくすることが何かについて考える「すきなものビンゴ&お仕事マップ」など、複数のプログラムが存在する。

「保護者同士でいろいろ話をする中で、『自分は何が好きなのかわからない』と感じている子どもが多いことを感じました。わくわくエンジンの『すきなものビンゴ&お仕事マップ』は、それらを具体的に知ることができるプログラムであることを知り、子どもたちに体験させたいと思いました」と、森田氏。

PTA会長に就任した21年度の春、校長先生に話を持ちかけたところ、「面白そうですね」と、キャリア教育を行う2年生学年主任の先生につないでもらえたという。

「学年主任の先生も、コロナ禍で職業体験ができないことに加え、今ある職業が、子どもたちが大人になったときにも存在するかどうかわからない状況の中で従来どおりのキャリア教育を続けてよいのだろうかという疑問を抱いていらっしゃいました。

豊島区では、教育委員会が、子どもたちが身近な地域課題を学び解決策を考え行動を起こす『SDGs達成の担い手育成事業』を21年度から開始し、区内の各学校で取り組んでいます。自分の内面を見つめ、掘り下げることからスタートするわくわくエンジンプログラムのコンセプトをご理解いただき、この事業の一環として位置づけ、“自分を知る”キャリア教育として導入することが決まりました」(森田氏)

子どもたちがグループに分かれ、ビンゴゲームや対話の中から自分の好きなことを発見したり、自分がわくわくすることが何かを考える約2時間のプログラムを実施するには、子どもたちの思いを引き出す大人のサポーターが欠かせない。

「PTAでサポーター募集のチラシを作り、自校や近隣の小学校に配布したのに加え、町会長さんにお願いしてポスターを貼りました。結果、PTA役員や委員、保護者、地域の方を含め15名のサポーターが集まり、21年10月にプログラムを実施することができました。『将来のことを楽しく考えることができてよかった』など、子どもたちから大好評だったことはもちろん、先生やサポーターの方からも『生徒の目が普段より輝いていました』『子どもたちがワクワクする様子を共有でき、貴重な時間を過ごせました』などの声をいただきました」

豊島区の「SDGs達成の担い手育成事業」の一環に位置づけ、“自分を知る”キャリア教育としてわくわくエンジンプログラム導入した
(写真:森田氏提供)

小・中連携事業に発展

第1回の成果を踏まえ、2022年度も継続開催が決定する中で、新たなムーブメントが起こった。21年度のプログラムに参加した生徒が、「とても楽しかったし自分を知ることができたから、これを小学生にやってあげたい」という声が上がったという。

「小・中連携事業として『わくわくエンジン発見教室』というキャリア教育イベントを開催することになり、近隣の小学生の参加募集、中学生のサポーター募集を行ったところ、それぞれ15名集まりました。サポーターの中学生たちは『どうしたら小学生にリラックスして楽しく参加してもらえるか』について知恵を出し合いながら準備を進め、イベント当日も大盛況でした。サポーターの生徒が全校生徒の前で寸劇を交えながら活動報告を行い、『来年もやろう!』と呼びかけていた姿を目にしてとてもうれしかったですね。来年度以降も持続可能な活動となるよう、引き継いでいきたいと思います」と、森田氏。

思春期を迎え、親子のコミュニケーションが減りがちになり、未来に向けて揺れ動き始める中学生の時期。だからこそ中学校PTAは、活動の適正化を図りつつ、キャリア教育など学校との協働や情報共有、生徒会とのコラボ、保護者同士の対話の場の創出などに取り組みながら、子どもたちの成長を見守り、支えることが活動の肝となるのではないだろうか。

(企画・文:長島ともこ、注記のない写真:森田氏提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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