「中二階の存在があることによって、日本という社会空間は豊かになってきた」。この言葉から始まる本書のメッセージは、実にシンプルだ。建築において1階と2階の間に存在する、「中二階」の概念を多くの事象に文明論的に当てはめながら、これが日本社会でいかに重要な役割をはたしてきたかを説く。
例えば明治の「文明開化」のような大変革において、外来の文物、西洋からの概念や技術などが2階の部分だとしたら、「現場の論理」は1階。狭間にある中二階が両者の緩衝地帯として衝撃を吸収し、さらに原理そのものを換骨奪胎してきたことが、日本社会の特殊性だという。
「ねじれ」解消の原理とその重要性
古くは「漢字かな交じり文」という日本語特有の外来文化のアレンジ、明治の廃藩置県、戦後の農地改革などの事象にも、原理と現実の「ねじれ」は介在していた。それを受けとめる中二階の構造が、日本の企業経営においてどう機能してきたのか。経営戦略、組織マネジメント、企業統治などの観点から示される。
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