コストコ再販店「下北沢ストックマート」の正体 コストコより割高?コストコは認めてる?

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東京の再販店は2020年5月と比較的早い時期にオープン。stockmart下北沢店だ。東京初の再販店である点や、少量パック商品が販売されていることなどで売り上げを伸ばし、2022年8月30日に2店舗目になる府中店をオープンした。

ピザもハーフカットサイズ。これら少量用のパッケージはstockmartオリジナルとのことだ(撮影:大澤誠)

この府中店は駅前の商業施設内ということもあり話題を集め、初日には約300人の行列ができた。また商品があっという間に品切れになってしまうなど対応が追いつかず、しばらく営業時間を短縮していたようだ。

実際に府中店を訪ねてみると、まず驚いたのが人の多さ。平日の午後1時だったが、商品棚の間の狭い通路が人でいっぱいだ。一番人気の「ディナーロール」は、品出しをするそばから消えていく。レジ前を見ると客が途切れる間がほとんどない。

傍目にはおいしいビジネスに見えるが…

その他、コストコでは同じ味だけが詰め合わせられているマフィンを数種類詰め合わせた「ミックスマフィン」や、「ハイローラー7個入り」、「メキシカンサラダラップ2個入り」などのデリ、ベーカリーが人気だ。その他加工食品や日用品では、コストコのプライベートブランド、Kirkland Signatureが根強い人気を誇る。stockmartではこれらおよそ400種類の品を扱っている。

コストコの人気商品を小分けにして販売しているのがstockmartの特徴。コストコで36個入りで販売されているディナーロールを9個入りで販売(棚最上段)。人気が高く、品出しをするそばから売れていく(撮影:大澤誠)

運営会社のstockmart広報黒田絵美氏によると、売り上げは設立当初から4倍に、インスタグラムのフォロワー数は約4000人から約2万7000人にと大きく膨らんできているという。

実のところ、stockmartという企業そのものが謎の多い存在だ。詳細は非公開で公式ホームページも設けられていない。注目度の大きさに対し、企業の体制整備が追いついていない状況のようだ。

コストコのブランドを利用できるので、傍目にはおいしいビジネスに見えるが、実際どのように運営されているのだろうか。

コストコで人気のプライベートブランドKirkland Signatureも多くそろえる(撮影:大澤誠)

黒田氏によれば商品の仕入れは日に2回、コストコ店舗で直接購入し、トラックで輸送する。混雑状況によって開店ギリギリになることもあるが、さらに店舗で小分けし容器を詰め替えて店頭に並べる。開店前になると店頭に列ができ、オープンすれば欲しいものをめがけてお客が殺到。時間に追われながら、品出しを繰り返すという。

デリやベーカリーは賞味期限が短いため、その日中に売り切っている。

価格づけにも絶妙なさじ加減が必要という。一般のスーパーと比べてあまり差があり過ぎると「高い」という印象が強くなる。バラ売りだからこそのお得感を感じてもらえるよう値付けをしているそうだ。

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