子どもの探究が確実に変わる、GIGAスクール時代の「学校図書館」活用の極意 高森北小の学校司書・宮澤優子の危機感と挑戦

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文部科学省の「学校図書館ガイドライン」には、学校図書館は「読書センター・学習センター・情報センター」の機能を有していると書かれているが、この3つの機能を果たしている学校図書館は少ないのではないか。しかし今、GIGAスクール構想や探究学習の推進により、学校図書館や学校司書の役割はますます重要になっている。そこで、さまざまなアプローチで学校図書館機能のアップデートに尽力する、長野県高森町立高森北小学校・高森町子ども読書支援センター 司書の宮澤優子氏の取り組みを取材した。

「図書館や情報を活用できないまま大人になる」ことへの危機感

「新学習指導要領は、学校図書館が『読書センター・学習センター・情報センター』という3つの機能を備えていることが前提になっています。つまり、学校図書館が機能していないということは、本来行うべき教育を学校で実施できないということ。それは子どもにとっても社会にとっても大きな損失だと思うんです」

宮澤 優子(みやざわ・ゆうこ)
長野県高森町立高森北小学校・高森町子ども読書支援センター 司書
公共図書館司書を経て2008年より学校司書。学校司書および校内ICT担当として、学校図書館の「読書センター・学習センター・情報センター」の機能とGIGAスクール構想をつなぐ。子どもたちの日常の学びのために、そして学校図書館機能の確かなアップデートのために、子ども読書支援センターを中心に町内の司書たちと日々奮闘中。Google認定教育者Lev.2、GEG Minami Shinshu 共同リーダー

そう語るのは、長野県高森町立高森北小学校(以下、北小)で学校司書を務める宮澤優子氏だ。現在、学校司書の研修講師や講演などに引っ張りだこの宮澤氏だが、公共図書館を経て14年前に学校司書になった頃は「学校図書館を読書センターとしてしか捉えていなかった」という。学校現場に入って初めて、公共図書館とは求められる仕事も与えられる予算も異なることがわかり、改めて自身の知識やスキルを高める必要性を感じた。

「また、私も豊かな“図書館経験”がないまま育ちましたが、その環境がずっと変わっていないことにも危機感を覚えました。このままでは、子どもたちは私と同じように図書館や情報を活用できないまま大人になってしまう。そう思い、学校図書館機能や子どもたちに必要なスキルについて追求するようになったのです」

前任校があった飯田市では、有志の学校司書たちと学習会を立ち上げ、読み聞かせの年間計画の作成・実施や、情報活用能力の育成などに取り組んだ。2019年度からは人口約1万3000人の高森町に移り、町全体での図書館活用教育に尽力している。

高森町ではまず、連携体制を整えた。町立の全小中学校(北小、高森南小学校、高森中学校)に配置されている学校司書と、高森町立図書館の司書、教育委員会の職員などからなる組織を結成。20年4月には、このメンバーで「高森町子ども読書支援センター」を立ち上げ、協働して子どもたちの読書を支援する仕組みをスタートさせた。例えば、南信州図書館ネットワークを活用し、学校図書館を窓口にして近隣自治体の蔵書も含め約120万冊の本を借りられるようにするほか、本との出合いの創出や探究学習につながるイベントなどを開催している。

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