多くの学校で基礎できていない、「調べ学習」押さえておくべき基本中の基本 学校の図書館改革手がける赤木かん子氏に聞く

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2020年から実施されている学習指導要領で、注目されるようになった探究学習。その入り口となるのが「調べ学習」だ。中でも先生から与えられたテーマをどう掘り下げて自分のテーマを決めればいいのか「テーマ設定」で悩んでしまう子が多いという。こうした基礎は探究学習でも役に立つが、「多くの学校で基礎ができていない」と児童文学評論家で図書館コーディネーターとして活躍する赤木かん子氏は警鐘を鳴らす。テーマ設定からレポートの書き方まで、調べ学習の進め方、まとめ方の基本中の基本を赤木氏に聞いた。

テーマ決めは、言葉の定義から

――「多くの学校で調べ学習の基礎ができていない」と話されていますね。何が問題なのでしょうか。

調べ方を教えないのに調べなさいと言っている点と、下調べをして材料を集めていないのに調べろと言ってしまう点です。材料を集めていないのに調べろ、というのは材料がないのにカレーを作れ、と言っているのと同じですよ。最初に調べ方の基本をきちんと指導するべきです。

無理なことをさせたらできないのは当たり前で、楽しくもありません。でも、やり方を教えてできたら子どもは快感でしょう。できないことをやらせてはいけません。

――調べ方の基本とは?

例えば、先生から「縄文時代について調べなさい」という課題が出されたとしましょう。縄文時代について、自分は何を調べるのかテーマを決めるには、まず下調べが必要ですよね。そこで最初にやらなければならないのは、縄文時代という言葉の定義を手に入れることです。定義は百科事典に書いてあるので、最初に調べる本は百科事典ということになりますね。定義を手に入れれば、自分でも理解できるし、ほかの人にも説明できるようになります。

赤木かん子(あかぎ・かんこ)
児童文学評論家
子どもの頃に読んで忘れてしまった本のタイトルや作者名を、ストーリーの断片から探し出す「本の探偵」としてデビュー。児童書の書評とともに、図書館のコーディネーターとしても活躍している
(撮影:尾形文繁)

その点、百科事典は有効です。百科事典がよいのは、短い言葉で的確に概要が書いてあるから。大抵5分で読めるので、それほど負担になりません。

ということは、百科事典の使い方も教えておかなければならないということですよね。百科事典は、キーワードがあいうえお順に並んでいるので、「背→つめ(小口)→柱(ページ上)」を見て探すと探せることを教えます。

見つからないときは索引巻を調べます。索引に「3ー111」とあったら、3巻の111ページにあるよ、という意味です。もし索引で見つからないときは、その単語はその百科事典には載っていないから、ほかの本を調べよう、ということになります。

こうして縄文時代について定義し、どういうものかがわかったら、次はその中から自分の興味を引く分野を探します。縄文土器や住居、被服、お葬式、釣りの仕方などがキーワードに上がってくるでしょう。例えば「縄文土器」を選んだとしたら、縄文土器とは何かについて再度百科事典で調べます。縄文時代から縄文土器と、テーマを絞り込んだわけです。

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