目撃者たちが語る「梨泰院」雑踏事故の悲惨な現場 ハロウィーンで集まった人が一斉にパニックに

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クラブに行く衣装を着た友人3人組は、梨泰院に到着したとき、パーティーの準備をしていた。すると、青いビニール毛布に覆われた遺体が路上に並んでいるのが見えた。「怖かった」とソウル在住のイ・ソンウンさん(30)は話す。「自分が見たものが信じられなかった」。

彼女の友人であるジョン・ソルさん(30歳)も、群衆は手に負えないほどで、当局が救助隊や避難のための道を確保するのに長い時間がかかったと語る。「道路も見えないほどだったとジョンさん。「私たちは何度も押し倒された。それが誰であろうと、押したり引きずったりしていた」。

梨泰院
(写真:Matej Leskovsek/The New York Times)

正常だった群衆が突然パニックに陥った

数時間後、救急車がまだ黄色いシーツに覆われた遺体を運び出している中、深夜のパーティー参加者は家路についていた。それでも当局は、何が起こったのか、年に一度の祭りがどうしてこんなに早く、ここ数年で最大の災害の1つに発展してしまったのか、はっきりしたことはわからないと言った。

事件直後、ソーシャルメディア上で最も多く見られた反応は、周辺にいた人、あるいはいたかもしれないのに電話に出ない人を心配する声であった。「ソウルにいる友人が無事で眠っていることを祈る」というメッセージもあった。

今回の事故に巻き込まれた人たちは、最もショックなのは人々が正常な状態から突然パニックに陥り、それが群衆を巻き込み、正常な世界が突然覆された感覚に陥ることだった、と事故直後から語っている。

ある傍観者は、路上にぐったりとした死体があるのを見た、と言った。「見なければよかった」と彼は言った。「でも、見てしまった。胸が張り裂けそうだった」。

(執筆:Matthew Mpoke Bigg記者, Chang Che記者, April Rubin記者 and John Yoon記者)

(C)2022 The New York Times 

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