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最悪の形態で聖戦論をぶち上げたプーチンの思惑 聖戦論を擁護するロシア正教会の動き

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9月30日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ4州(ドネツク、ルガンスク〈ルハンスク〉、ザポロジエ〈ザポリージャ〉、ヘルソン)を併合する条約に署名した。この条約は10月3日にロシアの国家院(下院)、4日に連邦院(上院)で批准された。

署名前にプーチン氏は演説を行った。ウクライナ戦争との関連で注目されるのは、プーチン氏が停戦条件を明示したことだ。

私たちはキエフ政権に対し、2014年に始めた戦争、すべての敵対行為を直ちに停止し、交渉のテーブルに戻ることを求めます。私たちにはその準備ができています。このことはこれまでに何度も言われてきたことです。ただしドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソンの人々の選択は議論の対象になりません。それはすでに決定されており、ロシアがそれを裏切ることはありません(拍手)。そして今日のキエフの当局は、この自由な民意の表現に敬意をもって接し、それ以外のことはしてはならないのです。これだけが平和への道となりうるのです

このような条件をウクライナのゼレンスキー大統領がのまないことを、プーチン氏は十分認識している。いったい、何を狙って停戦条件について言及したのだろうか。

ウクライナに明示した停戦条件

プーチン氏の交渉術には特徴がある。ある時点でロシア側が出した条件に相手国が同意すれば、それで妥結する。相手がロシア側の条件をのまない場合はハードルを上げる。

次ページプーチン氏の主張を支えるロシア正教会
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