「資金余剰→対外投資」の前提が崩れつつある。これから起きるのは資金回収か。
「一帯一路」構想に代表される中国の新興国向けの対外資金協力が「債務のわな」をもたらすのではないか、との議論が世界で盛んになっている。
きっかけは今年7月に生じたスリランカの経済破綻と、その後に起きた政情不安によってラジャパクサ大統領が国外逃亡したことだ。同大統領が「親中派」であり、中国への多額の債務の返済に苦しんだことが一連の混乱の背景にあるとの報道が目についた。
こうした報道が相次ぐのは、経済安全保障を重視する地政学的な観点から、一帯一路を中国の勢力圏拡大の動きとして警戒する見方が根強いからだ。
しかし筆者は中国の対外経済協力について、経済安全保障面を強調しすぎると、問題の本質を見誤ると考えている。例えば、スリランカの対外債務で多くを占めるのは国際ソブリン債(ISB)であり、中国政府あるいは中国の国有銀行からの債務は全体の10%程度であることが、国際金融の専門家などから指摘されている。
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