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長江で異常渇水、上流と下流で「水争い」が勃発 三峡ダムの水利も絡み、事態はより複雑化

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干ばつと水不足に直面する長江流域。これに三峡ダムの水利が絡み、事態がより複雑になっている。

乾いた川底の見える長江の支流
三峡ダムの上流にある重慶市。長江の支流の水量は極端に減っている。撮影は9月上旬(写真:ロイター/アフロ)

秋冬の本格的な渇水期を目前に、長江流域を中心として深刻な干ばつ、水不足の懸念が強まっている。渇水は、上流の三峡ダムでの水の放流制限に原因があるとの見方が下流域からは出ており、地域間で「水争い」が起きかねない危うさをはらんでいる。

今年8月、長江上流の四川省で、水不足から水力発電の能力が低下、電力の使用制限が行われ市民生活に支障が生じた。その後、一定の降雨があり、電力供給はとりあえず回復したが、より下流の湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、上海市などの各地域では、その後も目立った雨は降っておらず、渇水状態の深刻さが増している。

最大の原因は雨量の少なさ

長江流域の中心都市、湖北省武漢市では、長江の水位が8月に入って急激に低下、9月11日現在の水深は13メートル83センチと前年同期より9メートルも低い。大型船舶は座礁の危険があるため、当局は喫水4メートル以上の船の通行を禁止。通常期は1万トン級の船舶が航行できるが、現在は3000トン級までしか通れなくなっている。

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