──SDGs(持続可能な開発目標)で、日本人の関心は環境に偏り、人権に対しては低いようです。
大気はつながっているのだから全世界で取り組もう、というコンセンサスができている。ルール整備が進み、気候変動対策は「やって当然」まで来ました。一方人権に絡む対策は、各企業が当事者意識を持って取り組む必要があり、ルールづくりが遅れていたのも事実。ただ世界的には貧困や強制労働など人権問題が危急とされることも増えており、その点日本人の感覚がズレてるのは確かですね。
効率化に成功した企業ほど人権リスクが生まれる
──SDGs達成目標は2030年ですが、児童労働の撤廃だけ25年というのを初めて知りました。
近年、児童労働が統計以来初の増加に転じた。背景にはコスト競争過熱による過度のサプライチェーン効率化があります。コロナ前の10年で日本企業の売上高は横ばいなのに利益は5倍へ拡大した。顧客からの締め付けでなりふり構わずコストを削り、そこに人権無視の現地サプライヤーが紛れ込む。効率化に成功している企業ほど、10年前にはなかった人権リスクが生まれている可能性があります。
──その兆候を実感されますか?
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