「幸福度」を科学的に測定・分析することは可能か GDPに代わる「政策目標」として近年注目される

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感情とレビュー評価。不満、普通、満足の顔の中から満足の顔を選ぶ
(写真:tadamichi/PIXTA)

アリストテレスやベンサムを代表として、古くからずっと、幸福は人間社会の究極の目標だといわれてきた。格差や環境問題のような資本主義の副作用、「収入が上がっても、幸福度は徐々に上がりにくくなる」といった研究結果などを背景に、近年は金銭的な豊かさだけではなく、幸福度を直接測定・分析して政策の立案・評価をしようとする動きが活発化している。2011年に英国が始めて以来、幸福度の国家統計は各国に広がり、日本も21年から作成している。

これらの調査では、「今、人生に満足していますか? 0〜10のスケールでお答えください」といった質問で幸福度を尋ね、そのうえで回答の平均値の推移などを確認することが多い。しかし、考えてみてほしい。直前の気分や周囲の人との比較に惑わされず、自分の幸福度を正確に答えられるだろうか。それに、幸福度8の人は幸福度4の人の2倍幸せで、2人の平均幸福度は6だ、と単純に計算してよいだろうか。

実際、現在の測定・分析方法は課題だらけで科学的根拠に乏しい。本稿では、最新の研究に基づいて具体的な課題とその解決の方向性を紹介する。

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