今こそ冷静に考えたい「アベノミクス」失敗の理由 安倍政権によって日本経済はどうなったか
安倍元首相は、前任者たちと同様、減税によって企業が投資を増やし、賃金を上げるという「トリクルダウン」理論を提唱した。実際、岸田首相の新しい資本主義会議の資料にあるように、2000年から2020年にかけて、日本の数千社の大企業の年間利益はほぼ倍増したが、全労働者への報酬は合わせて0.4%減、設備投資は5.3%減となった。
女性の雇用は増えたかもしれないが
このような事実を前にして、安倍元首相を支持する人たちは、女性の雇用が増えたことを「ウーマノミクス」の大きな成果として挙げる。しかし、これは多くの豊かな国々での経験とほとんど変わらない。男性が賃金の引き下げに苦しむと、家計を維持するために労働力に加わる妻が増えるのだ。
安倍政権では、女性の雇用増加の75%が低賃金で、将来性のない非正規雇用であった。安倍元首相自身、2013年に掲げた「7年後に女性管理職比率を30%にする」(東京都が10年前に掲げた目標の繰り返し)は達成できなかったことを認めている。 そこで、2015年には目標を半分の15%にしたが、その目標の達成はまだ見通しが立たない。
安倍元首相を擁護する人たちは、デフレ脱却を功績として挙げている。しかし、安倍元首相は常々、日銀総裁がわずか 2 年で達成できると主張した、2%のインフレ率を達成すれば経済の成長は回復すると主張してきたが、これも実現していない。
そのため、日本政府が2%のインフレ目標にさえ近づくことができないと、安倍元首相の支持者は主張を変え、物価下落を終わらせれば十分だと主張するようになった。
いずれにせよ、安倍元首相がインフレを克服した方法は、またしても生活水準への打撃となった。健全なインフレは、堅調な内需の結果である。一方、安倍政権時代の物価上昇の93%は、食料、エネルギー、アパレル、履物などの輸入集約型製品に起因している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら